180度開脚ストレッチと股割りの違い

180度開脚ストレッチ(股裂き)と股割り(MATAWARI)の違い

ストレッチとは、股割りとは、

Wikipediaによると、

スポーツや医療の分野においてストレッチあるいはストレッチングとは、体のある筋肉を良好な状態にする目的でその筋肉を引っ張って伸ばすことをいう。 筋肉の柔軟性を高め関節可動域を広げるほか、いろいろなメリットをもたらす。なお、ここでいう筋肉とは骨格筋のことである。

股割り(またわり)とは、スポーツにおける練習、または技術の一つ。開脚、股裂きとも。相撲、テコンドー、ダンス、シンクロナイズドスイミング、フィギュアスケート、体操競技、ヨーガなどで取り入れられている。

 

ストレッチも股割りも同じような意味でとらえてしまいがちですが、両者は全く「質」の異なるものです。

骨格筋は「収縮」して力を発揮します

「ストレッチ」と「股割り」は、筋肉を「伸張」する筋肉を「収縮」するの違いがあります。

 

ストレッチは筋肉を伸ばしてやわらかさを求めるのに対し、股割りは筋肉を収縮して動きを求めます。

筋肉が力を発揮するのは「収縮」したときです。

股関節は、筋肉が「収縮」することにより可動します。

つまり、股関節の可動が広がるのは、筋肉の「収縮率」が上がったときです。

≪参考書籍≫
“動き”のフィジカルトレーニング(春秋社)

ストレッチで獲得するやわらかさとは?

現場では、「股割り」のことを「股裂き」や「開脚ストレッチ」として混同され取り入れられています。「股裂き」や「開脚ストレッチ」で180度開脚を達成した場合は、伸張反射を鈍らせてしまった状態のことが多いのです。

筋肉には、伸ばされると縮むという特性があります。これは、伸張反射といわれる生体の防御反応で、関節が可動範囲を超えて怪我をしないように制御しています。

「開脚ストレッチ」で開脚180度を達成したとしても、動作では動きにキレがない、怪我が絶えない、という結果が待っているのです。つまり、「開脚ストレッチ」は筋肉を伸ばす(伸張)ばかりで股関節の動きの訓練に至っていないのです。ですから、「開脚ストレッチ」は股関節をやわらかく滑らかに動かすのに向きません。これは、ストレッチを否定しているわけではなく目的に合わないのです。ストレッチは、適度に心身をリラックスするのによいでしょう。

股割りは、股関節をやわらかく滑らかに動かす

股関節をやわらかく滑らかに動かすためには、股関節をそのように動かす訓練が必要です。「股割り」はそのための一つの方法なのです。

「股割り」は、股関節を外転/外旋/屈曲に筋肉を収縮して動きを訓練をします。

「股割り」も「ストレッチ」と同様、緻密な知識と実践を要します。股関節のやわらかい滑らかな動きを求める、動きのキレを求める、怪我の予防を求めるのには、「股割り」などの動きの訓練が必要なのです。

体がやわらかい人の問題点、開脚前屈のポイント

体がやわらかい人の開脚前屈の問題点について。体がやわらかい人の特徴は180度開脚から前屈をすると、べったり力なく床に伏せてしまいます。そのとき、つま先が正面を向いて股関節が内旋、あるいは、股関節の動きがないまま脚が内側に倒れてしまいます。さらに腰が丸まって、下腹と床が接触できないので空いてしまいます。

深部感覚

また、つま先を立てて足をキープすることができても、腰が丸まってしまいます。基本に忠実なクラシックバレエの指導者でも開脚前屈の最終で腰椎の生理的前弯を保持することができず、腰が抜けてしまいます。つまり、腰が入らないのです。

深部感覚

スポーツ、ダンス、格闘技などをする場合に「体がやわらかいとよい」といわれてきましたが、長年やわらかい人たちを見てきた経験から股関節をコントロールできない柔軟性は滑らかな動作をするのに逆効果になります(円滑な重心移動)。

実際、体がやわらかい人たちからは、股関節をコントロールできない、怪我や体の痛みなどの相談を多数聞いてきました。これは、一般の方の健康のための柔軟性ということではなくて、競技など動作にキレを与えていかなければならない人たちの柔軟性ということです。自分自身がコントロールできない関節の可動域というものをイメージしてみるとわかりやすいかもしれません。いくら開脚幅が広がって上体を前屈できているように見えても、自分がその開脚前屈の動作で股関節を外転・外旋−屈曲のコントロールができていなければ、実践で使えない可動域ということです。

開脚前屈では腰椎の生理的前弯を保持、つまり、体幹を保持して動作をすること。つま先を立てて両足を保持した状態で体幹が股関節から前屈すること。股関節から体幹が前屈すると、恥骨結節、下腹の順で床に接触します。体がやわらかい人は、このポイントを注意してみて下さい。

深部感覚

腰椎の生理的前弯を保持して開脚前屈動作をおこなう理由は、腰が丸まる、あるいは、腰椎が後弯した状態では、骨盤の運動が止って、腰椎が運動を代償していることになります。これでは、股関節の運動を起こせないばかりか、第2仙椎に運動軸がある仙腸関節の動きを止めて、骨盤自体の動きを制限してしまいます。恥骨結節から下腹が床につくということは、股関節から骨盤が動いている証拠なのです。

股関節の動きで骨盤を前傾させる股割り、第2仙椎を運動ポイントに

体がやわらかければ何となく健康やスポーツ動作に良いイメージがあります。それで体をやわらかくするために股割りに興味を持たれる方が少なくありません。体が硬い人もやわらかい人も同じように股割り動作をするのですが、体が硬い人はもちろんのこと、体のやわらかい人も同じように苦戦します。

「ストレッチで開脚前屈ができても股割りはできない。」
体が硬い人にとってはよくわからない話だと思いますが、体がやわらかい人でも股割りをやってみなければわからないことなのです。体のやわらかい人の中には自分の動きに不足している感覚に気づいて股割りにチャレンジする人もありますが、一般にはよくわからないことだと思います。

反り腰を骨盤前傾、腰を立てることが骨盤後傾だったり、皆さんさまざまな解釈をしていますので、まず股割り動作のメカニズムから整理していかなければなりません。

「股割りは股関節の動きで骨盤を前傾する。」
骨盤前傾といっても股関節の運動によって骨盤の位置が変化するものと、それ以外の腰や足の位置によって変化した状態があります。たいがい、これらの区別なく骨盤前傾と解釈されています。

股関節を動かして骨盤を前傾させれないということは股割りができていないのです。ストレッチの開脚前屈で胸を床につけることはできても股割りで下腹を床につけることができない。つまり、股関節を動かすことができていないということなのです。

深部感覚

股関節を動かして骨盤を前傾させるときの運動ポイントは第2仙椎辺りになります。

深部感覚
▲ 出典:Grant’s METHOD of ANATOMY

股関節を動かせないで骨盤を前傾させようとすると運動ポイントが腰辺りになって反り腰や腰を曲げることに繋がります。クラシックバレをやられていて、やわらかい方などは股関節の可動の不足分を腰で補うために反り腰になっている方が少なくありません。

深部感覚

第2仙椎を運動ポイントに股関節を動かすことで、いわゆる腰の入った動作で股割りができるようになります。ストレッチ開脚前屈で胸が床についたとしても下腹は床から離れていて腰が伸びた状態になっています。これは腰の筋肉で多裂筋などが伸張状態になっており収縮して体幹保持をするという作用ができてない状態にあります。ですから股割りでは恥骨接触から下腹が床につくように体幹を保持しながら股関節を動かして骨盤を前傾させていきます。

深部感覚
▲骨格筋の形と触察法(大峰閣) 著:河上敬介、磯貝薫

構造動作トレーニングでおこなっている股割りでは、解剖学的肢位を基準にしません。股関節がいつでも動き出し可能な骨盤と大腿骨のポジションを基準にしています。それは、骨盤の安定と強度を確認することで容易に判断できます。私はこのポジションを機能的肢位としてトレーニングおよびリハビリの基準にしています。

深部感覚

股関節の動きの感覚や骨盤と脊柱、大腿骨の位置感覚がよくわからないという場合は、実感がまだともなっていないということでしょう。体の構造と仕組みに沿ったトレーニングを行っていれば必ず股関節の動きを円滑にすることができます。痛みや運動制限をともなうトレーニングは必ず何かしらの理由がありますから動きを通して自分のポジションを見直すことが大切です。その積み重ねは深部感覚(固有感覚)を色濃くし、動きにキレが与えられることでしょう。

足を高く上げるための開脚「脚上げ」、股割りからの縦開脚

先日は、東京・股割りワークショップで脚上げストレッチの検証を行いました。
「股割り」に興味を持った理由を聞くと「脚を高く上げれるようになりたい」という方が結構な割合でおられます。空手やダンスをされる方など、股関節の可動が大きければ大きいほど実践にも表現にも役立つイメージがあります。

深部感覚

そのためにコツコツとストレッチをして大きく開脚をできるようにされた方が多いのではないでしょうか。しかし、中には大きく開脚ができるようになったが、股関節の運動感覚が鈍い、あるいは体をキープする筋力が弱い、怪我をしやすい、など次の課題をクリアするために「股割り」に興味を持つ方がおられます。

これは、例えば「脚を上げる」ということを「動き」でみるのか、「かたち」でみるのか、その違いでトレーニングの過程が異なり結果に表れます。「動き」でみることができれば、股関節の滑らかな動きにキレをあたえることができます。逆に「かたち」でみてしまうと股関節の運動感覚を養うことができません。

すると、はじめから「股割り」をすればよかった、という声を聞きますが、やってみてはじめてわかることもあるのだと思います。わたしもスタートは開脚ストレッチでしたし、はじめから股割りの概念があったわけではありません。経験して自分の行くべき方向性を知った、という感じです。

構造動作トレーニングでは、股関節をコントロールできなければ意味がありません。「脚上げ」についても同様にコントロール可能な股関節の可動域において「動き」にキレを与えていきます。

まずは、股関節の深部感覚(固有感覚)を高めること。自分自身の股関節を所有していなければコントロールのしようがありません。つづいて、強く、安定して、直ちに次の動作へ移ることが可能な軸足と姿勢づくり。さらに股関節の運動方向を体に染み込ませていきます。

「股割り」はこれらのいくつかの要素を養うのにすぐれていると思いますが、すべてではありません。「脚上げ」は股関節をコントロール可能な位置に軸足と体幹を保つことが大切です。それには軸足と体幹の位置覚、股関節の運動覚を高めていきます。

「脚上げ」の「かたち」は縦開脚(スピリット)に似ていますので「股裂き」をされる方もあります。しかし、この場合も股関節の運動感覚を養うことができません。股関節の構造と仕組みを知った上で自分の目的に合ったトレーニングを心がけてください。

足を大きく開こうとすると筋がつっぱる/開脚前屈

先日、お子さんから「足を大きく開こうとすると足がつっぱって開脚できない」
「からだが硬いからなの?」と聞かれました。

私が「からだのどこが硬いの?」と聞き返すと
太ももを指さして「筋肉???」「骨???」
と首を傾げていました。

どうして滑らかに開脚ができないのか?わからないのです。
これは、お子さんだけではなくて大人でもわかりません。

しかし、大人は子供に聞かれるとついつい何となくそれらしいことをいってしまいます。
子供のうちに筋肉やからだが硬いと教えられた子はこの先、
ずっとそのように思い込んだままでしょう。

そうすると「自分は筋肉やからだが硬いから...。」
と、それ以上の可動域を動かすことなく感覚が薄く鈍くなっていきます。

当然、普段やらない動きは感覚が鈍くなるのです。
たまに運動をして体のあちこちが筋肉痛になるのは
「からだや筋肉が硬いから」というよりは
「その動作に慣れていなかった」
という方があっているでしょう。

開脚動作も同じことがいえます。
滑らかな開脚動作ができない理由は、
これまでやってこなかった動きに慣れていないために
骨の位置、関節運動の方向、筋肉の役割分担などが
よくわからないのです。

「足を大きく開こうとすると筋肉がつっぱる」という方は、
開脚動作をするときの骨の位置、股関節運動の方向、筋肉の役割分担を
練習すれば足の筋がつっぱることなく滑らかな開脚ができるようになります。

決して、からだや筋肉が硬いから開脚ができないわけではないのです。

 

 

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