監修:中村考宏
股割り歴20年。MATAWARI JAPAN 代表。柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師。えにし治療院院長。【DVD】構造動作トレーニング “股割り”を極める(BABジャパン)、著書「骨盤おこし」で体が目覚める(春秋社)、趾でカラダが変わる(日貿出版社)、しゃがむ力――スクワットで足腰がよみがえる(晶文社)、“動き”のフィジカルトレーニング(春秋社)他多数。メディアUP!−名古屋テレビ【メ〜テレ】で股割り紹介。テレビCM股割り「割る」出演。BABジャパン 月刊秘伝10月号「股割りの秘密」【前編】【後編】。他プロフィール詳細
蹴り技の中でも上段蹴りや踵落としなどの技は、足を高く振り上げるための股関節の可動域が必要です。
技の練習とともにストレッチをして股関節の可動域を稼ぐ選手が多いのですが、股関節の運動に必要な筋肉を伸ばし切ってしまうと、蹴り技の質の低下を招く恐れがあります。股関節のストレッチではなく、股関節の動きを鍛える股割りロールオーバーがおススメです。
股関節の運動に作用する筋肉をストレッチして伸ばしきってしまうと、パフォーマンスが低下してしまいます。関節は筋肉が収縮することで可動します。パフォーマンスで実際に使える股関節の可動域は、股関節に作用する筋肉が適切に収縮する可動域です。その可動域を無視し無理に筋肉を伸ばし切ってしまうと、股関節の可動に必要な筋肉を使えなくなってしまうのです。股関節運動の仕組みを正しく理解し、鍛練することが大切です。
10月も半ば、過ごしやすい気候になりました。 私は、股関節トレーニングと山トレに励み、気づきの多い今日この頃です。先日、山を散策していたら、足元に松茸が生えているのを発見し、びっくり仰天。先輩の山友さんたちが、毎年、秋になると松茸の話題で盛り上がっていましたが、私は野生の松茸を見たことがなかったので半信半疑でした。それでも秋になると、本当に松茸があるのかな、と思いながら、赤松の根本を気にしていました。何年越しでしょうか、ようやく念願の松茸を見つけることができました。先輩たちが話していたことは、事実だったのです。私は、話の内容にもよりますが、とりあえず、気に止めてやり続けるタイプなので、股割りトレーニングとも相性がよく続けているのだと思います。
さて、股関節のトレーニングをしていても可動域が広がらない、という相談を受けることが多いのですが、そのほとんどは、股関節をトレーニングしているつもりなのですが、実際には股関節をトレーニングできていません。実践で使える股関節の可動域というのは、股関節の運動で筋肉が作用する状態にトレーニングをしなければなりません。ストレッチに取り組んでいる人が多いのですが、筋肉を伸ばしてばかりいても、股関節の運動で筋肉が作用する状態にはなりません。股関節は、どのようにトレーニングするものなのか、を理解して、目的を達成するために必要な分のトレーニングをこなさなければ、実践で使える股関節の可動域を広げることはできません。股関節を理解して必要な分のトレーニングを重ねることが大切です。
一流のスポーツ選手は、体の細かな機能まで使える状態にあります。一般のスポーツ選手が一流のスポーツ選手の動作を真似しても同じようにならないのは体の細かな機能まで使える状態にないからです。そのような体の細かな機能まで使える状態にある選手でさえも、スランプや故障に悩まされることがあるほどです。体と動作というのは、実に難しく、その奥の深さが身に染みる今日この頃です。
私は体の細かな機能まで使える状態を経験したいと思っています。もっと若い頃に構造動作トレーニングを形にできていたら、今頃はどうなっていたのか、と考えてもみますが、これは私の気づきの中から構築していったものなのでしかたありません。とにかく、今は目の前の神経系統を構築することに集中するのみです。
それでも私なりのトレーニング成果はあります。それは股関節の回転する動きの感覚が以前よりも厚くなってきていると実感できることです。体の細かな機能まで使える状態なら、スランプに陥ったとき股関節の使い方を見直すことで、股関節の回転する感覚を明確に感じ取ることができるようになりますが、そのような状態でなければ、体の機能を取り戻し、動きを感覚できるようにトレーニングしていかなければ決して感覚を取り戻すことは出来ないのです。
股関節をコントロールするには、足先に意識が通る状態でなければなりません。そのため股割りトレーニングでは足首の適切な角度をキープすることが求められます。足関節の運動に作用する筋肉は足指の筋肉が含まれます。股割りトレーニングで、牧神の蹄を使った足の感覚トレーニングや足指トレーニングをおこなうのは、股関節をコントロールできるようにするために欠かせないからなのです。若い人たちは私よりも劇的な効果を出せると思いますので頑張ってください!
8月も残すところ3日、秋の風を感じられるようになりました。来院するなり「平松:松阪いいですよ!」「私:なにが?」「平松:おすすめの山ですよ!」と施術ベットに山の地図が広げられました。
まつさか香肌イレブン
平松さんは300名山を達成しているので、完全制覇系のイベントにだまってはいられないのでしょう。確かに、手ごろそうな山かもしれませんが‥私は完全制覇というものに興味がありません。鈴鹿セブンも達成していないし、するつもりあるの?!という感じなのです。
さて、話は付きませんからパーソナルはじめます。平松さんは定期的に体をメンティナンスし、さらに日頃からトレーニングに余念がなく、年々、体が若返っている印象があります。それは、痛み知らず、疲れ知らずの体の状態ですから、100名山も300名山も難なくクリアできるのでしょう。
山歩き、トレイルランナーの知り合いでも、膝を故障していて、膝が痛いという人が多いのですが、痛み知らず、疲れ知らずの人と何が違うのでしょうか?痛み知らず、疲れ知らずの人は野性的というか、本能的に骨格、筋肉、関節、感覚を統合し、神経系統を好循環にする感覚があるような印象です。逆にいえば神経系統の循環に気づかないうちは膝を故障したままということになります。ですから、膝の痛みが治まったと思っても、またぶり返すのです。
この日は自宅で使っているイスと敷物持参で股割りトレーニングをチェックしてほしいとのことでした。トレーニングは、骨格、筋肉、関節、感覚を統合し、神経系統を完成させていきます。このトレーニングの目的に気づくことが難しいのだと思います。いよいよ過ごしやすい秋の季節です。秋の山を満喫してくださいね!
古来から伝承されている按摩法は、各手の手法を運用して生体の変調を整え、疾病の治療をするものです。 伝承按摩法は、現代においても、体を整えるのに効果的な方法です。
伝承按摩法には、主に次のような方法があります。
「導引図」は色彩の綺麗な図で、長さ1m、高さ50cm絹の布の中に、四十四の様々な年齢の男女による各種の導引の動作がかかれています。図の傍らには、動作の要領を説明したり、治療対象となる疾病を説明してあります。
▲東洋医学概論 導引図
東洋医学の養生法の考え方は、天地自然の運行にかなった生活法をおこない、精神をおだやかにしておくことです。 体を鍛練し、おだやかに生活ができたら、いうことなしですね。
MATAWARI JAPANのサイトを久しぶりに更新した。開脚をするためにバレリーナやお相撲さんが股の筋を切る、という本当か、嘘か、噂話がある。私は正しい股割りの方法を知らなかったときに、股の筋を切って大変だったから、思うところを記した。
健康意識が高い股割りチャレンジャー。定期的に身体のメンティナンスに来院される。300名山を完登し、次は日本百名瀑の制覇寸前。これから四国へ向かうそうだ。股関節は動作の要。股の筋を切って開脚ができるようになったとしても、股関節はコントロールできるようにならない。着実にトレーニングを積み重ねていくことが近道だと思う。
スポーツの各競技動作では股関節運動のキレが重要です。股関節運動のキレとは、どのようなことなのでしょうか?それは股関節が滑らかに動くことです。そのためには、股関節の運動に作用する筋肉が正常に働かなければなりません。筋肉の働きは、収縮をして関節を動かすことです。それが筋肉の正常な働きなのです。股関節のストレッチを必要以上にしている選手は注意が必要です。正常な筋肉は収縮をして力を発揮しますから、股関節の動きを鍛えなければ、股関節が滑らかに動くようにはならないのです。股関節が滑らかに動く状態は、四肢と体幹が連動する状態です。股割りトレーニングは、四肢と体幹が連動する骨格位置を身に付けることが大切です。
動作の中で四肢がどのように連動するのか?股関節の回転力UPを計ろうとしている人は常に考えたい。前回からの記事のつづき、ランニングと自転車ではポジションは違う、しかし、どのようなポジションにおいても、動作の中で四肢が連動するようにトレーニングしたいというのは同じだ。そもそも動作の中で四肢が連動していない人は、フォームの見直しをしても上手くいかないことが多い。例えばランニング動作の際に左肘が開く癖がある場合、左肘を締めておく意識で上手くいく人もいれば、しかし、左肘が開く原因は別にあって、逆に左肘を意識することでフォームがこんがらがってしまうという人も多い。下肢と上肢の神経の流れを確保して正しい関節運動の方向を探りながらトレーニングを進めていきたい。下肢については腰仙神経叢を確保する。上肢については頚神経叢と腕神経叢の流れを確保する。
▲解剖学アトラス 越智淳三=訳
胸鎖関節の運動範囲は広く、その助けによって上肢の自由運動がおこなわれる。鎖骨は肋鎖靭帯を支点として楕円運動をおこなう(上下、前後)。
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
猫背や巻肩では上肢を下肢と連動させることはできない。骨盤のトライアングルベースを捉えれるようにし、骨盤と胸郭を正しく配列させたい。そして頚神経叢と腕神経叢の流れを確保し、上肢の関節運動の方向を探る。
肘関節は上腕と前腕で関節をつくる。上腕と関節つくる前腕には尺骨と橈骨があり、尺骨と上腕骨(腕尺関節)、橈骨と上腕骨(腕橈関節)、橈骨と尺骨(橈尺関節)の関節がある。そして腕橈関節は回内と回外をおこなう。 腕橈関節は体幹を保持するのに重要な関節だ。
頚神経叢と腕神経叢の流れを確保し、股関節を可動する。
頚神経叢と腕神経叢の流れを確保し、さらに腰仙神経叢の流れを確保し股関節を可動する。
四肢の神経叢の流れを確保することが難しい。
股関節の回転力UPを計るためには四肢と体幹をいかにして保持し、股関節が重心移動でどのように可動するのかを実感したい。
構造動作トレーニングの実践研究で股関節についてわかってきたことがある。私の実践研究の経過について記すのは本当に久しぶりだ。股関節は姿勢や動作の習慣によって関節運動の方向が反れる。これを股関節が外れている、ずれている、関節がゆるい、ロックなど様々に表現される。骨盤についても、歪んでいる、開いている、など表現されるが、体の各関節運動の方向が反れることや各骨のアライメントの不一致、筋肉のアンバランスな作用の影響で骨盤が定位置に収まらない。
人の体というのは、体の各部位が細かにバランスをとりあっている。一日仕事をすれば、確実に体は歪む、そのため睡眠をとる。体を横たえ骨休めをすることで、体は修復されるが、年齢を重ねるにつれ体を休めても修復されないまま姿勢が崩れ、動作が制限されていく。これは、体の各部位が細かにバランスをとることができなくなり、体の各部位を置物のように固めていくような現象だといえる。そうすると股関節が運動方向から反れてしまっても、骨盤が定位置に収まっていなくても、体を横たえ骨休めするだけでは自力で修復できない。
股関節が運動方向から反れていると、自重を下肢骨で分散できず、腰椎椎間関節、仙腸関節、股関節、膝関節、足関節に負荷をかける。これは下肢骨の配列が揃っていないことで、関節ばかりでなく骨や筋肉の故障につながる。1つ故障をすると、体のあちこちが不調になりやすい。これは、体が不調なりにでも姿勢を保持して動作をしなければならないので、腰痛、股関節痛、膝痛、足痛、負担のかかる箇所が体の各所に及ぶのだ。
股関節の運動方向が反れてしまった状態を正しい軌道に戻すには、徒手療法を用いる。程度にもよるが、それで良好になる人もいれば、また元に戻ってしまう人もいる。良好になる人は姿勢や動作の習慣にさほど問題がない。元に戻ってしまう人は姿勢や動作の習慣を見直す必要がある。姿勢や動作の習慣の問題とは、例えば、猫背のように姿勢が崩れていると頭、肩、お腹は、重力によって引っぱられてしまうことだ。そうすると、それらの重みによって股関節は、外へ外へ押し出され、ガニ股になる。体は常に重力の影響を受けているので、力学的に最も強度を発揮する骨格位置を姿勢や動作の中に入れて、正しい軌道で股関節を円滑に動かしたい。
さて、力学的に最も強度を発揮する骨格位置を姿勢や動作の中に入れて、股関節を正しい軌道で円滑に動かすことができるようにするためのトレーニングとして私は股割りに取り組んでいる。股割りは重力の影響を軽減しておこなえるトレーニングである。例えば、スクワットは下肢骨の配列が良好で、股関節の運動方向が正しい軌道にある状態でおこなうことができれば効果的だが、そうでなければ重力の影響、自重の重みで股関節に無理な負荷をかけることになる。股割りは下肢骨の配列、股関節の運動方向の軌道を正すのに効果的だ。その状態でスクワットをおこないたい。
私はスクワットにおいても重力の影響を軽減しておこなえるよう股関節屈曲運動として行っている。股関節の屈曲運動は脊柱の配列を保持することに集中してしまい、下肢がおろそかになりやすい。力学的に最も強度を発揮する骨格位置を姿勢や動作の中にない状態でスクワットをおこなうとガニ股になる。股関節を正しい軌道で円滑に動かすことが大切だ。
股関節の可動域が少ない人、いわゆる股関節が硬い人の股割り指導をしていると、股割り動作を正確におこなえれば、見た目に可動域が拡大しているようにみえなくても、本人は股関節が軽く動かせるという。これは、股関節の運動方向やそれに作用する筋肉が正しく働くことで股関節を円滑に動かすことができるようになるからだと思う。また、重力の影響や自重が軽減でき、股関節内の圧力が軽減され、負荷が軽減した状態になったのではないかと考えている。起床時に身長が伸びるという経験があると思うが、重力の影響を軽減できた結果なのではないだろうか。
股割りは開脚前屈の動作時に、それに作用する筋肉を確実に収縮できるようにしたい。筋肉は収縮時に力を発揮する仕組みだ。股割りを、柔軟体操と勘違いして、力を抜いて開脚前屈の形を作ってしまうと、股関節を正しい軌道で円滑に動かすことができない。それは、股関節の関節運動の方向を反らしてしまう原因になり、股関節が外れている、ずれている、関節がゆるい、などの状態をつくり、故障や股関節の機能低下、下半身の崩れなどにつながる恐れがあるので注意したい。
構造動作トレーニングの股割りやスクワットは姿勢や動作を向上させるためのトレーニングである。トレーニングで得たものは、歩く、走るなど基本動作に落とし込むことができてトレーニング効果を出せたといえるのだ。
構造動作トレーニングの股割りは、重力の影響を軽減できているからこそ、じっくり股関節を探り、練ることができるのだと改めて思う。若い頃は大学の解剖学研究室で多くを学ばせていただいた。当時は、生体の筋肉、関節、骨などが、実際に動く様子を想像していたが、今思うと大した想像ではなかったのだと思う。それだけ解剖学を勉強しても、自分の股関節はからっきし動かせなかった。その後、股関節を動かすことができたと思っていたが、実は筋肉を伸張した可動域に過ぎなかったと今ならわかる。股割りに取り組むようになってからは、2次元から3次元の解剖学へとステップアップした感じがした。そして、股割りの動作の質を求めるようになってからは、解剖学だけではなく、生理学、運動学、物理学、力学などの総合的な学問に発展しているようだ。そうなると一筋縄ではいかないが、宇宙際タイヒミューラー理論を使えば、何とかなりそうな気がする。今後も引きつづき、じっくり股関節を探り、練っていく。
腰仙神経叢は、腰神経と仙骨神経の前枝からつくられる。これから出る枝は下肢の知覚と運動をつかさどる。大腰筋と小腰筋はL1〜L4、腸骨筋はL2とL3に支配される。まず、股割りは大腰筋の作用で開脚前屈をおこなえるようにする。
▲解剖学アトラス 越智淳三=訳
大腰筋の作用で開脚前屈をできるようにするためには、腰仙神経叢の経路を確保しなければならない。これは、力学的に最も強度を発揮する骨格位置を股割りの姿勢と動作に入れることだ。腰が引けて背中が丸まってしまうような姿勢では、骨盤が後傾して腰仙神経叢の経路が十分に確保されない。仙骨神経叢S1〜S3が骨盤内を走行し、坐骨神経から腓骨神経、脛骨神経と枝分かれし、大腿と下腿、足指の知覚と運動をつかさどる。股割りは開脚前屈において動作を円滑におこなうために脚をキープする。骨盤が後傾すると仙骨神経叢の経路を確保できないために大腿と下腿、足指のコントロールができない。骨盤はトライアングルベースを捉えることが大切だ。
股関節を動かすことは、下肢の知覚と運動の循環である。下肢末端の足指が思うようにコントロールできなければ、股関節を円滑に動かすことができない。足指が思うようにコントロールできないと、足をなんとかしたくなるが、腰仙神経叢の流れをみるべきだし、また力学的な問題もクリアしていかなければならないのだ。
来院される方たちの中に、パフォーマンスアップの目的で大腰筋のトレーニングを取り入れている方がみえる。しかし、大腰筋のトレーニングをつづけていても、効果が実感できないという。実際におこなっているトレーニングをやってもらうと、もも上げ、もも回し、上体反らしなどを見せてくれた。
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
徒手検査でご本人の大腰筋の作用や股関節の運動方向の状態を確認してみると、片側の股関節の運動方向が反れていて、大腰筋の作用は良好な状態ではなかった。このような状態では、もも上げの際に大腿直筋が代償することになり、せっかくパフォーマンスアップの目的でトレーニングをおこなっていても逆効果になりかねない。
私は大腰筋トレーニングなら股割りが効果的だと実感している。陸上競技の世界記録保持者たちのように、すでに大腰筋の作用や股関節の運動方向が良好な状態にあれば、その必要はないのかもしれないが、そうでなければ大腰筋の指標がほしい。股割りは、股関節から体幹を大腰筋で屈曲する作用を、見た目でも確認できるトレーニングなので、自分の大腰筋の状態を把握しやすい。
来院される方たちの中には、大腰筋を調整する施術をおこなっても、動作の癖で元に戻ってしまう方もみえるが、股割りを取り入れている方は大腰筋を管理できている傾向にある。また、大腰筋の作用や股関節の運動方向が良好な状態は、お腹がやわらかいので大腰筋を触って確認しやすい。
腰痛、股関節痛、膝痛など下肢の不調は、大腰筋の作用状態と関係が深い。大腰筋を管理してパフォーマンスアップを効果的にしたいものだ。
▲解剖学アトラス 越智淳三=訳
現在の構造動作トレーニングは、20年前、大腰筋に注目し研究することからはじまりました。当時は、私自身が大腰筋を使えているのか?使えていないのか?その感覚さえもありませんでした。それは、陸上競技の世界記録保持者たちの鍛え抜かれた肉体から生み出される美しい動作に魅了され、その動作の根源について、どうしても知りたかった私はトップアスリートの大腰筋が発達しているということで、スポーツ界で注目されていた大腰筋が、その動作の根源であるのかもしれないと思い、確かめたくてしかたがない衝動にかられました。しかし、どのようにして確かめればよいか、その手段がわかりませんでした。
あるとき、開脚前屈をする機会がありました。私は学生のときから体が硬く、開脚90度も開かない状態で後へひっくり返るくらいでしたので、ストレッチを避けて通るような柔道選手でした。しかし、国家資格を取るために勉強した解剖学、筋肉治療で学んだ臨床解剖学のおかげで、開脚前屈と大腰筋がつながったのです。それからは、体が硬いからと逃げるわけにはいきません。解剖学を再び体で学び直しながら開脚前屈で股関節屈曲、外旋で作用させて、大腰筋が作用する状態にするしかありませんでした。
その後、開脚前屈から股割りへ目的が明確になり、取り組み続けていますが、長い道のりになってしまいました。ストレッチを避けていた私が、一流選手の美しい動作に魅了されたのをきっかけに大きく意識が変わったものです。今では、生きた解剖学を実感しながら教材としての股割りが楽しみになりました。現在は、大腰筋の研究から切り返し感覚の研究へと発展し、次の課題を研究しています。
一般的に開脚は股関節の柔軟性を高める目的でおこなっている方が多いと思います。ところで、柔軟性って何なのでしょうか?筋肉や腱、それとも関節や骨がやわらかくなることでしょうか?そして、筋肉や腱、それとも関節や骨がやわらかくなることで、股関節を動かすことができるようになるのでしょうか?柔軟性を目的にしてしまうと、何か曖昧な感じになってしまいます。
バレエではつま先を外に向け180度股関節を外旋して立つことをアンデオールとよんでいるようです。しかし、私はアンデオールで立つことはありません、もしアンデオールができないのなら、股関節外旋の動きを鍛え、股関節をコントロールできるようにすることを目的にすればいいのではないでしょうか?股割りは動きを鍛え、股関節をコントロールできるようにするためのトレーニングです。
股関節トレーニングのポイントは、股関節の外旋から内旋に切り返す際のキレを意識すること。両足で拍子を打つようにするのがコツ。継続は力なり!
股関節を外旋する動きは、クラシックバレエに限らず他のスポーツ競技動作においても重要で、パフォーマンスを十分に発揮するため、確実に身に付けておきたい動きの要素だ。
投げる・打つ動作で、右から左へ重心移動をする時、股関節を回旋する動きが、動作を円滑にするための動きの要素になる。これは動作の方法が異なっても同じことで、右に重心を残して股関節を回旋する場合も同じことだ。また、股関節を回旋する動きはコントロールできなければならない。股関節を回旋する動きがコントロールできない場合は、例えばゴルフスイングで脇腹を痛めるような股関節から離れた箇所に負担がかかる傾向にある。
どの競技においても一流選手は子供のころから、股関節をコントロールするという運動基礎感覚が身に付いている、それでもストレスや体調不具合などで運動基礎感覚を崩すようなことがあると故障に発展するので、運動基礎感覚を保つというのは、難しいことなのだといえる。
股関節を外旋する動きをできるようにするには、股関節を外旋する動きを鍛えなければならない。股関節外旋は、股関節・外旋・外転・屈曲がセットで動きの流れとなり、股関節内旋は、股関節・内旋・内転・伸展がセットで動きの流れになる。大人からバレエをはじめた人が、股関節を外旋する動きができないといわれるが、股関節を外旋位で動きの流れを止めてしまっている人が多い。股関節の動きを鍛えることが大切だ。
そもそも股関節をコントロールできない人は一流選手のような運動基礎感覚がないといっていい。この運動基礎感覚は一からつくっていかなければならない。運動基礎感覚の元になる感覚は深部感覚という。解剖学、運動学、生理学の指標をもって成果の出るトレーニングをし、運動基礎感覚を身に付けていきたいものだ。
股関節を外旋する動きは、クラシックバレエに限らず他のスポーツ競技動作においても重要で、パフォーマンスを十分に発揮するため、確実に身に付けておきたい動きの要素だ。
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
投げる・打つ動作で、右から左へ重心移動をする時、股関節を回旋する動きが、動作を円滑にするための動きの要素になる。これは動作の方法が異なっても同じことで、右に重心を残して股関節を回旋する場合も同じことだ。また、股関節を回旋する動きはコントロールできなければならない。股関節を回旋する動きがコントロールできない場合は、例えばゴルフスイングで脇腹を痛めるような股関節から離れた箇所に負担がかかる傾向にある。
どの競技においても一流選手は子供のころから、股関節をコントロールするという運動基礎感覚が身に付いている、それでもストレスや体調不具合などで運動基礎感覚を崩すようなことがあると故障に発展するので、運動基礎感覚を保つというのは、難しいことなのだといえる。
股関節を外旋する動きをできるようにするには、股関節を外旋する動きを鍛えなければならない。股関節外旋は、股関節・外旋・外転・屈曲がセットで動きの流れとなり、股関節内旋は、股関節・内旋・内転・伸展がセットで動きの流れになる。大人からバレエをはじめた人が、股関節を外旋する動きができないといわれるが、股関節を外旋位で動きの流れを止めてしまっている人が多い。股関節の動きを鍛えることが大切だ。
そもそも股関節をコントロールできない人は一流選手のような運動基礎感覚がないといっていい。この運動基礎感覚は一からつくっていかなければならない。運動基礎感覚の元になる感覚は深部感覚という。解剖学、運動学、生理学の指標をもって成果の出るトレーニングをし、運動基礎感覚を身に付けていきたいものだ。
股関節を外旋することが難しい、できない。股関節の外旋は大腿骨の長軸が外回転する動き、内旋は内回転する動き。治療院に来院される方たちをみてきて、股関節を回旋する回旋可動域の狭い方が多く、また競技動作、日常生活動作を快適におこなえるようにするために、欠かせない股関節の動きであると感じている。
クラシックバレエでは、ターンアウト turn out といって、〔足の指などが〕外側に向く、という意味で使われている。しかし、足のつま先を外へ向けても、膝から下だけが外旋して、肝心の股関節を外旋させることが、難しい、できない。股関節を外旋できる人は足のつま先を外へ向けるだけのことが、できない人にとっては難題なのだ。
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
つまり、股関節を外旋する動きは、骨盤を受け皿にして、つま先、下腿骨、大腿骨までの配列を外回転する動きになる。ターンアウトができるプロダンサーは脚を股関節で外旋させている。それでもプロだからといって完璧な股関節のコントロールをすることは難しく、故障に発展している。だから、大人からバレエをはじめた人がターンアウトができず、挫折するのは無理もないと思う。
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
プロが故障する原因には、運動基礎感覚のズレがある。例えば足を捻挫したときなどに靭帯や筋肉を損傷する。そのときに固有感覚受容器が損傷していることが多い。これは、深部感覚といって意識に上がらない体の中の感覚の流れに関わる感覚の受容器なのだが、足の捻挫が見た目に治ったとしても、以前のような動きができず、なにかしっくりこないような感覚があるときは、まだ固有感覚受容器の損傷が治っていないのだ。故障を繰り返したり、固有感覚受容器の損傷が残っていると、運動基礎感覚のズレができて、身体をコントロールすることが難しくなっていく。
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
股関節を外旋できない人は、そもそもの運動基礎感覚がない、といっていい。大人からバレエをはじめて順調に上達する人は運動基礎感覚がある。運動基礎感覚がない人は、股関節を外旋できる体の状態することが先決だ。
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
股関節を外旋できる体の状態は、股関節の運動に作用する筋肉が働く位置。筋肉の起始停止部が定位置に収まる骨格の配列を求める。趾骨、足根骨、腓骨、脛骨、大腿骨、骨盤の配列を適切にし、筋肉の起始停止部を定位置にする。そして、各関節は股関節を外旋することができる運動方向を求める。これらの要件を満たさなければ股関節を外旋できるようにはならない。
まず、自分の体の状態を把握したい。徒手検査法をもちいて、骨格の配列具合、筋肉の作用状況、関節運動の方向の反れをみていくと、そのほとんどが自覚できなかった人が多い。脊柱の配列が極端に右に偏っていたり、臀筋やハムストリングスが働いていなかったり、足首の運動方向が反れていたりするのを、自分では自覚できないのだ。そのような状況で筋肉をストレッチしたり、筋肉を強化しているので、体を複雑にし身動き取れない状態にしている人が多い。もっとシンプルに考えられる体の状態にしたい。
股関節の外旋は動きだから、股関節の動きを鍛えなければならない。運動基礎感覚のない人は、体の状態を見直さなければいけないし、運動基礎感覚がズレている人は修正しなければいけない。つまり、股関節の外旋をできる体の状態にして、股関節の外旋の動きを鍛えるのだ。
開脚ストレッチを取り入れている人は多い、単に可動域を高めるための外転ストレッチに留まらず、動きのあるターンアウトができるようになるための、ロールオーバーを取り入れ動きを鍛えたい。
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