股割りことはじめ、まずは開脚前屈をできるようにする方法

股割りの開脚前屈は、床に額や胸をつけません。股割りは床に下腹がつくように訓練します。今回は開脚前屈の方法を紹介します。

監修:中村考宏

股割り歴20年。MATAWARI JAPAN 代表。柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師。えにし治療院院長。【DVD】構造動作トレーニング “股割り”を極める(BABジャパン)、著書「骨盤おこし」で体が目覚める(春秋社)、趾でカラダが変わる(日貿出版社)、しゃがむ力――スクワットで足腰がよみがえる(晶文社)、“動き”のフィジカルトレーニング(春秋社)他多数。メディアUP!−名古屋テレビ【メ〜テレ】で股割り紹介。テレビCM股割り「割る」出演。BABジャパン 月刊秘伝10月号「股割りの秘密」【前編】【後編】。他プロフィール詳細

股割りの開脚前屈の方法

開脚前屈は、床にトライアングルベース(恥骨)をつけ、大きく開脚をして、足関節背屈、足の指を握ってキープ、MT.富士のポーズで体幹をまとめ、重心を前方へ移動し、前屈します。このとき骨盤は、股関節で屈曲し、恥骨、下腹、お臍の順に、床へ接触します。

【重要】ヒップジョイント 股関節 hip joint


まずは開脚前屈をできるようにしていきます。開脚前屈は足を大きく開いて股関節の外転、外旋位でキープします。開脚前屈は股関節の屈曲で骨盤が前傾する運動です。開脚をしたときの股関節の位置を明確にすることが重要です。股関節は英語でヒップジョイント hip joint といいます。一般には鼠径部の辺りを股関節とイメージしがちですが、解剖学ではお尻の関節です。開脚前屈では、股関節の動きを鮮明に感じれるように訓練していきます。

トライアングルベース


▲指先から身体だを整える(春秋社)著中村考宏P99
開脚をするときの姿勢は、骨盤のトライアングルベースを床に接触します。トライアングルベースは、恥骨と両坐骨結節で結ぶ三角形の面です。クラシックバレエでは、骨盤を立てる、腰を立てる、骨盤をおこす、と表現されますが、具体的にはトライアングルベースを床に接触します。

足関節を背屈でキープする

足関節の背屈
足関節の底屈

足関節の筋肉の作用

  • 背屈:前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋
  • 底屈:下腿三頭筋、長・短腓骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋、後脛骨筋

開脚前屈をするときは、股関節の外転、外旋位をキープして前屈します。その際、足関節の背屈、あるいは底屈をキープします。股割りは足関節の運動に筋肉が作用する状態でないと正しい動作をおこなえません。足関節の運動でカマ足、バナナ足などの癖がある場合は改善が必要です。

マウント富士のポーズ Mt.Fuji pose Japanese split matawari

基本ポーズは、前と上の矢印のベクトルに腕を差し出し、中間重心を決定して、姿勢をまとめるためにおこないます。マウント富士のポーズは、開脚姿勢で足関節の背屈をキープし、ベクトル方向に腕を差し出し、姿勢をまとめ、股関節の屈曲運動を円滑にするためにおこないます。Mt.Fujiのポーズは、四肢と体幹が円滑に連動するための体をまとめあげます。体幹がまとまる、腕の位置、腕の運動方向を身に付けることが大切です。

マウント多度のポーズ Mt.Tado pose Japanese split matawari

マウント多度のポーズは、開脚姿勢で足関節の底屈をキープし、ベクトル方向に腕を差し出し、姿勢をまとめ、股関節の屈曲運動を円滑にするためにおこないます。マウント多度のポーズの特徴は、外旋六筋の収縮を確認しやすいことです。さらに、マウント富士のポーズで外旋六筋、臀筋、背中をつなげます。

股割りで下腹が床につくようになるまで

股割りは静的、動的なストレッチでなく、動作として捉えるとトレーニングがすすめやすいです。股割り動作をするための最良のポジションをセッティングし重心移動を円滑におこなえるようにします。 股割り動作が上手くできない段階では、筋肉が硬いことが原因で上手くいかない、と考える人が多いです。そして、硬い筋肉がやわらかくなることで股割り動作が上手くできるようになる、と考えがちです。しかし、体がやわらかく、筋肉がやわらかい人たちも股割り動作が上手くできません。どうして、筋肉が硬いのか、その原因を考えることが大切です。股割りで床に下腹がつくまでには、幾度となく問い続けられるテーマです。構造動作トレーニングの「股割り」は、おでこや胸を床につけて床に伏せるのではなく、ゆっくり重心を移動させて、最初に下腹がつくように訓練します。しかし、「床に下腹がつく」という段階で、どれほどの人たちの気持ちが萎えてしまったでしょうか。シンプルな運動なのですが、「床に下腹がつく」という段階は、股割りの難関です。これは、重心移動にともなう股関節の屈曲ができるようになると到達できます。「床に下腹がつかない」段階は、まだ股関節を屈曲するという運動感覚が備わっていないのです。ですから、じっくりと股割り動作を練って運動感覚を養う必要があるのです。

足の実力不足

股割りで下腹が床につくようになるまでには、足の実力をつけていかなければなりません。開脚前屈をするときは、足を大きく開いて股関節の外転、外旋位をキープし、前屈します。その際は、足関節の背屈をキープして、足が前方へ倒れないようにします。「床に下腹がつかない」段階では、足の実力不足のことがほとんどです。それは開脚前屈をするときに、十分な足関節の背屈のキープができていないのです。どうしても股関節ばかりに意識が集中してしまい、足の末端は疎かになりがちです。足関節の運動に作用する筋肉には、足の指の運動に作用する筋肉が含まれています。つまり、足の指の運動に、長母趾屈筋、長母趾伸筋、長趾屈筋、長趾伸筋が作用する状態でなければ、足関節の運動は不十分だといえます。

足の指を握り込んだまま足関節の底背屈

足の実力をつけるのには、足の指を握り込みながらの、足関節の背屈と底屈の運動が効果的です。これは足関節と足の指の関節が連動する状態にするためにおこないます。足関節と足の指の関節が連動すると、開脚前屈をするときに足をキープしやすくなり、床と下腹の距離がより近づきます。

重心移動

上体をkeepし、重心を前方へ

開脚前屈をするとき、額や胸を床へつけるように上体を伏せてしまいがちです。股割りは床に伏せません。開脚前屈をするときは上体をkeepし、重心を前方に移動させます。

股割りにチャレンジする

東京・股割りチャレンジ教室

第3日曜日(+前日の土曜日)
「股関節の回転力」をアップして、運動の質を根本から変える構造動作の「股割りトレーニング」を指導します。

三重・股割りパーソナルトレーニング・個人指導

中村考宏が股割りの個人指導をします。初心者から経験者まで対応します。股割りトレーニングは神経系統を完成させていく心身の鍛錬です。正しい方法を身に付けて、怪我がなく、効果的にトレーニングを行うことが大切です。

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