鍛錬としての股割り

鍛錬としての股割り、股関節の可動を広げるには?

股割でお腹が床につくようになるまで

股割りで床にお腹がつくまでには、幾度となく問い続けられるテーマです。

構造動作トレーニングの「股割り」は、おでこや胸を床につけて床に伏せるのではなく、ゆっくり重心を移動させて、最初にお腹がつくように訓練します。

しかし、「床にお腹がつく」という段階で、どれほどの人たちの気持ちが萎えてしまったでしょうか。シンプルな運動なのですが、「床にお腹がつく」という段階は、股割りの難関です。これは、重心移動にともなう股関節の屈曲ができるようになると到達できます。「床にお腹がつかない」段階は、まだ股関節を屈曲するという運動感覚が備わっていないのです。ですから、じっくりと股割り動作を練って運動感覚を養う必要があるのです。

股割り動作を練る

「180度開脚に憧れている」「身体が硬いからやわらかくなりたい」「股関節を滑らかに動かしたい」と股割りに興味を持っていただきます。しかし、すぐに結果を求めすぎ、焦りすぎで、気持ちが萎えて、できる気がしない、そして三日坊主で終わってしまいます。私の場合も「股割り」をはじめたばかりの時は結果を求め、焦って、取りつかれたように股を割ってました。そのような心がせく状態で気力を保ち続けることはとても大変でしたから、三日坊主になるという気持ちもわかります。できる気がしないので、他に何か方法があるのかもしれないかとも考えます。ですが、股関節の運動感覚が備わっていないので、結局は股割り動作をじっくり練って動きを訓練するしかないのです。

鍛錬としての股割り

股割りは、「鍛練」という位置づけで取り組むものなのだと思います。心がせく状態でいかにして気力を保つことができるか?身体を変えたい、動きを変えたい、という願望を達成するまでの過程というのは、達成して初めてその過程を知ることができます。股割りも「大きく開脚をして床にお腹がつく」という段階に達成してみないと、どのような過程が必要だったのかということはわかりません。知らないこと、経験がないこと、というのは誰にとっても未知の領域ですから、できる気がしない、と思ったとしても当然のことなのだと思います。できる気がする、と思うときは、その動作に見合う運動感覚が備わっている、或いは、その動作というものの構造を理解している場合なのかもしれません。いずれにせよ、目的を達成すれば、「できること」だとわかりますし、目的を達成しなければ、「できること」だとわかりません。「床にお腹がつかない」段階は、「床にお腹がつく」段階が未知の領域です。股割りを行うときは、この未知の領域に気持ちが萎えてしまわないように、気力を保ち続けることが大切です。また、股割りで股関節の運動感覚を備えるまでには、股割り特有のうめきたくなるような苦痛や攣りそうになる筋肉の身震いを越えなければならないかもしれません。これは、自分が自分の身体を普通にコントロールできてないことに対する自分からのメッセージなのです。股割りは、自分の行いによる苦痛によっても気持ちが萎えてしまいます。「鍛錬」としての股割りは、ひとつに気力を養うことがあると思います。股割りのテーマ「どうしたら床にお腹がつくのか?」という問いかけは、股割り動作をじっくりと練りながら答えを探していただけたらと思います。そのためには、じっくり腰を据えて気力を保ち続けることが大切です。

股関節の可動を広げるには?「気力」を充実させて動くこと

構造動作トレーニングの「股割り」は、股関節の外転・外旋から屈曲の可動を滑らかにする動作訓練です。股割りは、自分ができない動作をできるように訓練するのですから、気持ちの張りをやわらげることはしません。そこがリラックスや脱力をして行うストレッチとの違いです。

リラックス(relax)
[名](スル)くつろぐこと。ゆったりした気分になること。「部屋着に着がえて―する」

 

だつ‐りょく【脱力】
[名](スル)からだから力が抜けて、ぐったりしてしまうこと。また、意欲・気力が衰えること。気持ちの張りがなくなること。「―感」「下肢―」「頓珍漢な受け答えに―する」
(引用 デジタル辞書)

股割りは、動作とともに気力を養う訓練です。股割りは、気力を充実させて一連の動作をおこない、リリース時にリラックスします。これは、気力を保ち続けるということが想像以上に大変、或いは、気力を奮い立たせることに精神的疲労を伴うからです。「気力とは何か?」ということを文章で表現できませんが、まず気力を充実させることができないと股割りにチャレンジすることすらできません。股割りに取り組んでどれほどの人の気持ちが萎えてしまったでしょうか。気力を充実させて、保ち続けることが難しいのです。

なぜ、股関節の外転・外旋・屈曲を滑らかに可動できないのか?

それは、自分が自分の身体を普通にコントロールできないからです。コントロールできない理由としては、普段の動作でそれほど股関節の可動を必要としないために運動感覚が鈍くなった、股関節の仕組みを知らず、以前怪我をした、筋肉が硬い、など何らかの理由で、股関節の大きな可動をできないと思い込んでいる、などです。そのために、股割り動作をおこなうと緊張が生じ、股割り特有のうめきたくなるような苦痛や攣りそうになる筋肉の身震いなど、コントロールの不十分さを実感するのです。そして、この苦痛に耐えることができずに、どれほどの人の気持ちが萎えてしまったでしょうか。しかし、股関節に限らず動作を滑らかにするためには、動作に慣れて、動作を滑らかにおこなえるよう訓練するしかないのです。この股関節を滑らかに動かすためには、身体の構造上の条件を整え、できないという思い込みを消さなければなりません。身体の構造上の条件を整えるというのは、鈍くなっている股関節の運動感覚が厚くなるための適切な機能状態にすることです。この機能状態が不十分なままで動作を行うことにより身体に緊張が生じます。また、できないという思い込みは、精神的な緊張として身体をこわばらせます。これらの緊張は、滑らかな動作の妨げになるのです。

緊張は動作の中で開放する

股割りは、身体の構造と精神面からの妨げを動作の中で開放していきます。それは、静止している状態で緊張をやわらげることが、動いている状態の緊張をやわらげることにつながらないからです。例えば、股関節の運動感覚が鈍った状態の人が、精神的にリラックスできたとしても身体の構造による緊張をやわらげることにはなりません。運動感覚が鈍った状態には機能回復が必要なのです。股割りは、自分がまだできない股関節の外転・外旋・屈曲という基本動作の訓練です。ですから、股割りをはじめたばかりの時は、ほとんどの人が身体を緊張でカチコチにしています。しかし、股割りでは緊張をやわらげることはしません。それは、動作を練ることにより、緊張が生じない股関節の動きを獲得したいからです。そして、これまで可動させることができなかった股関節の領域を越えると、その範囲内の股関節の動きでは緊張が生じなくなります。これが、股割りの股関節運動の訓練です。自分ができない動作の緊張は、動作の中で開放します。それは、リラックスや脱力でやわらぐ緊張と質が異なるのです。リラックスは自分ができる状態を保つため、脱力は自分が動く術を失った状態だと考えられます。股関節を滑らかに動かすためには気力を充実させて臨でください!

 

 

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