上肢の骨は鎖骨、肩甲骨、上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨からなります。指と手の平は手根骨、中手骨、指骨という細かな骨が集まってできています。手根骨は大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨、豆状骨、三角骨、月状骨、舟状骨の8個(16個)。中手骨は5個(10個)。指骨は基節骨5個(10個)、中節骨4個(8個)、末節骨5個(10個)。カッコは両手の数。
ヒトの手先は器用で巧緻性に優れています。玉子やボールをつかむ。御寿司やバットを握る。やわらかいもの、かたいもの、そのものに合わせつかんだり、握ったりできる。絵を描くこともピアノを弾くこともできる。手は、とても感覚に優れた構造体です。しかし、私たちは手の機能を十分に生かし切れていません。腱鞘炎などのトラブルが起きればその機能について考えるかもしれませんが、器用が故にそこそこ動かせてしまいますからあまり気にしたことがないのではないでしょうか。例えば、拳を握ります。指の関節は最大限に曲げることができていますか?実は、関節の遊びを反対の手で押して確認してみると最大に曲がっていないことが多いのです。手は立体的な構造をしていますので指をきちんと曲げることができればもっとコンパクトな拳をつくれるはずです。手は体幹の力を末端、道具へ通す大切な役割があります。手の細かな関節の動きを感じ取り、手を動かす筋肉を十分に機能するよう回復させておくことが大切です。
手根骨は細かな骨なので難しく感じる人もあるかもしれません。触察するときの指標は、茎状突起、豆状骨、中手骨がわかりやすいと思います。
茎状突起を確認し底屈と背屈。すぐ遠位部に手根骨がある。
掌側手首の小指側にポコリと出っ張った骨。
豆状骨の背側にある骨。
有鉤骨は掌側に鉤(突起)がある。豆状骨に近接している骨。
第3中手骨と関節をつくり有鉤骨の隣の骨。
豆状骨と橈骨の間の骨。
月状骨の橈側の骨。
第1中手骨と関節をつくる骨。
第2中手骨と関節をつくる骨。
手の関節には、次の関節があります。
手関節を動かすには多くの筋肉が協力し合います。
背屈:総指伸筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、示指伸筋、小指伸筋
掌屈:浅指屈筋、深指屈筋、尺側手根屈筋、長母指屈筋、橈側手根屈筋、長母指外転筋
橈屈:長橈側手根伸筋、長母指外転筋、長母指伸筋、橈側手根屈筋、長母指屈筋
尺屈:尺側手根伸筋、尺側手根屈筋、総指伸筋、小指伸筋
浅指屈筋
筋質に富み、浅層筋の下にある大きな筋肉で上腕尺骨頭、橈骨頭の2頭を持つ
〔起始・経過〕上腕尺骨頭:上腕骨の内側上顆 橈骨頭:橈骨の上方前面
2頭は合して幅の広い筋腹をつくり、橈側手根屈筋および長掌筋の下を下行して4本の腱にわかれ、上・下の2束となる。
〔付着〕上束は第3、第4指にゆく腱となり、下束は第2、第5指にゆく腱となる、4腱はいずれも屈筋支帯の下にある手根管を通って手掌にゆく、各腱は基節骨の掌面で深指屈筋の腱に貫かれ、2脚にわかれて中節骨底の掌面につく、このとき、腱束の一部は交叉して腱交叉をつくる
〔作用〕第2〜第5指の中節を屈する
〔神経支配〕正中神経
深指屈筋
浅指屈筋の下で、前腕骨間筋膜の前面に位する
〔起始・経過〕尺骨前面上方2/3、前腕骨間膜から起こり、4筋腹にわかれ、ついで腱に移行する
〔付着〕4本の腱は、いずれも手根管を通って手掌にゆき、浅指屈筋の腱裂孔をくぐって第2〜第5指末節骨の底につく、第3,4,5指にゆく3腱はひとつの共通頭から出て、第2指の腱は単独な筋束から起こる
〔作用〕第2〜第5指の末節を屈する
〔神経支配〕正中神経、尺側の一部は尺骨神経
長母指屈筋
半羽状筋で浅指屈筋に被われ深指屈筋の橈側にある
〔起始・付着〕回外筋付着部の下方で、橈骨の前面および前腕骨間膜から起こり、半羽状筋の形をなして腱にうつり、深指屈筋の橈側にそって下る、尺骨頭(異常)は内側顆から薄束をもって起こる
〔付着〕付着腱は手根管をへて手掌に現われ、母指末節骨の底につく
〔作用〕母指末節を屈する
〔神経支配〕正中神経の前(前腕)骨間神経
引用日本人体解剖学第一巻医学博士金子丑之助著
“動き”のフィジカルトレーニングP.158
指なりに曲げる。
小指が遊びやすいので注意。
指は前腕の筋肉が収縮して屈曲する仕組みになっています。
浅指屈筋、深指屈筋、長母指屈筋を収縮出来るようトレーニングする。
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