大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋

肉離れに泣く選手が多くみられます。中でもハムストリングスの肉離れは跳躍力の低下を招く怪我といえるでしょう。跳躍力を武器としている選手にとっては翼をもぎ取られた鳥のごとくカラダのバネを失うといっても過言ではありません。ハムストリングスは膝関節の屈曲と股関節の伸展に作用します。肉離れの原因として考えられるのは、筋肉が伸張状態のときに収縮力が一気に加わったときです。

 

“なぜ、伸張状態のときに収縮力に絶えれきれないのでしょうか?”

 

それは、ハムストリングスの伸張収縮幅の狭いことが考えられます。ハムストリングスの伸張収縮幅が狭いというのは姿勢(骨格ポジション)により起始と停止の距離が短くなっている状態です。起始と停止の距離が短い状態は、伸張と収縮の幅が狭く、激しい競技の中で突然大きな動作を強いられたときに対応が難しと考えられます。

 

“骨盤後傾の姿勢は肉離れを起こしやすい”

 

ハムストリングスの伸張収縮幅は骨盤のポジションで異なります。骨盤立位と骨盤後傾のポジションを比べてみましょう。ハムストリングスは骨盤の坐骨結節から下腿に付着していますので骨盤立位に比べ骨盤後傾は起始と停止の位置が短くなります。骨盤後傾はハムストリングスの可動域が狭く、怪我につながりやすいのです。

半腱様筋!バネがある選手

スポーツをやっていると「あの選手はバネがある」ということをいいます。ある研究報告によるとアキレス腱などの腱が長ければ長いほど伸びて縮んだときの弾力性が増すそうです。腱というのは骨格筋を骨に固着させる強靭な組織のことをいいます。アキレス腱が有名ですが、他にもハムストリングスの中で半腱様筋がその半分くらい腱になっています。バネがある選手というのはアキレス腱や半腱様筋がしっかり機能してるのだといえます。

 

深部感覚

ハムストリング(hamstring)の起始停止

ハムストリングスの作用は膝関節の屈曲と外旋、股関節の伸展です。

ハムストリングス

 

大腿二頭筋
大腿後(屈)側の外側部を占める。
〔起始・経過〕
 長頭:坐骨結節の後面(半腱様筋とともに)
 短頭:大腿骨の粗線外側唇の下方1/2から起こり、両頭は合して共同の強い腱となり、膝窩の外側を外側下方に進む。
〔付着〕腓骨頭、下腿筋膜。
〔作用〕下腿を屈し、かつ外側方に捻転する。

 

半腱様筋
大腿二頭筋長頭起始の内側にある細長い筋で、膝窩の内側に向かって走る。
〔起始・経過〕坐骨結節の内側面から起こる。その下半は細い腱となり下内側方に向かう。
〔付着〕脛骨粗面にそい薄筋付着部の後下方につき、また下腿筋膜につづく。本筋は脛骨をとりまいて扇状の腱に終わり、縫工筋および薄筋の腱とともに鵞足をつくる。
〔作用〕下腿を屈し、かつ内側方にまわす。大腿を固定するときは骨盤を起立させる。

 

半膜様筋
半腱様筋に被われていて、上半は広い腱膜で、中ごろから筋腹となって、下内側方に走る。
〔起始〕坐骨結節。
〔付着〕脛骨の内側顆、斜膝窩靭帯、下腿筋膜。半膜様筋は鵞足のうち半腱様筋に被われていて、いわゆる深鵞足をなす。
〔作用〕下腿を屈し、かつ内側方にまわす。

 

引用日本人体解剖学第一巻医学博士金子丑之助著

ハムストリングスが最大限に機能を発揮するためには?

それは骨盤立位ポジションを手に入れることが先決です。

 

深部感覚

ハムテンション(hamstring - tension)

骨盤立位ポジションを手に入れたら次はハムテンションです。。ハムテンション(hamstring - tension)は股関節屈曲、膝関節屈曲、足関節屈曲、中足趾節関節屈曲で骨盤の前傾とともにテンションが高まります。テンションとはハムストリングスの伸張状態です。それはすぐにでも収縮できる状態であり跳躍動作などでは欠かせないカラダのバネといえるでしょう。

 

 

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