骨盤おこしでカラダづくり|ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.29 2013夏号「骨盤おこし」で身体の不調は消える(PHP文庫)

メッシの爆発的なスピードは、どこから生まれるのでしょうか?
「DVD」でレッスン!「骨盤おこし」でからだの不調は消える(PHP文庫)の著者でえにし治療院の中村考宏氏はその答えは、「骨盤」にあるといいます。骨盤を正しいポジションにすれば、パフォーマンスアップが期待できます。子供のうちに、土台づくりをはじめてみませんか?

メッシの骨盤は「おきている」

ジュニア年代の子供たちは、たとえば、1対1のドリブルのスキルを身に付けることも大切だが、その土台となるカラダづくりの基本を覚えておくことも重要だ。
 体の仕組みを知っていれば、今後パフォーマンスアップにつなげることもできる。ところで、日本の子供たちとメッシの体の状態が根本的に違うことを知っているだろうか。
 その違いとは、メッシの骨盤はおきているという点だ。
 骨盤?頭の中にクエスチョンマークが浮かんだかもしれない。骨盤とは、上半身と下半身をつなぐ重要な骨のこと。この骨盤がおきれば、メッシのようなドリブルを繰り出すことが可能になるかもしれないのだ!?「骨盤おこし」の提唱者として知られる、えにし治療院の中村考宏氏は「寝てしまっている骨盤をおこすことで、眠っているカラダの力を呼び覚ますことができる」という。
 「メッシのプレーは、常に前へ前へ、とスピードや瞬間的な爆発力を感じさせるものです。ドリブルをしている時の姿勢がとても前がかりですよね。あの胸が前へ前へ出ている前姿勢こそが、骨盤がおきている証拠なのです」
 わかりやすい例としてあげられるのが黒人アスリートだ。彼らは優れた身体能力の高さが抜きんでていて、どうしても素質や才能だけに目がいきがち。しかし、その姿勢こそ注目してほしい。全身をバネのように使い、お尻がプリッとしている。あのシルエットが、しっかりと骨盤がおきている証拠だ。例えば、世界最速王といて知られるウサイン・ボルト選手。あれだけのスピードは、鋼のような隆々の筋肉・・・ではなく、倒れ込むような前傾姿勢から生まれるものなのだ。
 これに対して日本人の姿勢はほとんどが骨盤後傾。猫背を自覚いている人も少なくないだろう。中村氏によれば、猫背とは日本人独特の特徴だという。猫背、つまり、後傾姿勢の場合、骨盤はおきていない。したがって、ほとんどの日本人は、メッシなどの外国人アスリートのように、前へ、前へという体から自然とわき出るようなパワーを体感できていないのだ。「黒人アスリートのように、お尻がプリッと突き出ていて、胸が前へ出ている状態の時は、骨盤の上に上半身が乗っていない状態になります。このとき骨盤に連結している股関節も、上半身の重さから解放されて、フリーの状態になります。股関節がフリーになると可動域が広がるので、連動する両足も自然と動くようになります。その状態で、歩いたり、走ったりしてみましょう。おそらく、今まで以上に体が軽くなり、脚がすっと出ていくはずです。また、股関節に柔軟性が出れば、下半身のパワーを上半身に伝えられます。その結果、スポーツ競技においてパフォーマンスアップにもつながるのです」「日本人のように骨盤が後ろに寝ていると、蹴る時の動作にも影響を及ぼす。
「骨盤が後傾していれば、姿勢も後傾した状態になるので、上半身の重みが股関節の上に乗っかってしまいます。するとロックした状態になるので、ボールをける時の脚のふり幅にも制限がかかってしまいます。あるいは、股関節が思うように動かない時は、体が本能的に脚のふり幅を確保しようとするので、太ももの筋肉(大腿四頭筋)を無理やり使って補おうとします。すると、太ももに負担が生じて、やがて疲労するので、ケガにつながる可能性も、高まります」
 逆に骨盤がおきていれば、正しい位置にポジションされた骨格の力を最大限に生かせるので、筋肉や関節の負担は少なくなり、ケガをしにくい身体をつくることも可能だ。

誤解されやすいトレーニングの考え方

 ところが現実には、ケガをしない体づくりを目的に、一生懸命に筋力トレーニング
に励む人も少なくない。頭の中に、「筋力トレーニングやストレッチは体のためになるもの」という刷り込みがなされているのではないだろうか。中村氏はその危険性を指摘する。
 「筋力トレーニング自体は悪ではありませんが、私からすれば一部の筋力を鍛えるだけのトレーニングなど、まったく意味がありません。本来、筋力トレーニングとはよりよく運動ができるようになることが前提にあるもの。筋肉量を増やすことが最終目的ではないのです。ところが、トレーニングの多くは、その大前提が抜け落ちてしまっています。大半の方々は、筋肉を鍛えるために、筋力トレーニングをしているのです。運動とは切り離して筋力を鍛えたとしても、結果的にプラスの効果にはなりません。特定の部位だけが強化され、むしろ運動するための体のバランスを崩し、ケガを引き起こす原因につながります。運動するためのトレーニング---------それは正しい骨格ポジションを整えるために行うものであると言い換えられます。こういった考えをもつだけで、出来上がる筋肉は全く質の異なるものになります。意識次第で理想の体に近づいていくのです」
 関連していえることは、スムーズに運動するには、体のバランスが崩れてはいけないということだ。体のバランスのとり方には「骨格バランス」と「筋力バランス」があるという。「大事なのは身体を支えるのは骨であり、骨格位置を調整するのは筋肉である、ということ。しかし、さきほども話したように、筋肉で骨格位置を調整してバランスをとろうとしているスポーツ選手が多く、筋肉に余計な負担をかけていまい、彼らはケガに泣いています。本当に必要なバランストレーニングは「筋力トレーニング」ではなく「骨格バランストレーニング」なのです。
 「骨格バランス」のとレーニングはまず、骨で立つことからです。しかし、それは容易なことではありません。そこで「骨格バランス」トレーニングでは「座る」ことから始めます。立った状態における骨盤、脊柱、頭蓋骨の位置関係を座った状態にて築いていきます。この「筋力バランス」から、「骨格バランス」への切り替えは選手自身の考え方から整理する必要があります。そして、骨格の位置関係を理解してもらい、体を気付きあげていくことにもなります。すると骨、筋肉、関節がそれぞれの役割を担い、体は一つの組織といて機能するように変化していきます。

簡単に確認できる「骨盤おこし」

日ごろから、トレーニングする意識を持つにしても、まず、自分の骨格バランスがどのような状態にあるのか、把握しておく必要がある。骨盤がおきているのか、寝ているのかは簡単に確認することができる。
 「椅子に座って座面とお尻のあいだに手を差し込んだとき、とがった骨に触れることができると思います。これは坐骨結節という骨なのですが、坐骨結節が座面とのあいだで確認できるときは、骨盤がおきておらず、寝てしまっている証拠です。そのまま胸を目へ出して行った時に坐骨結節が後ろへ移動していくのが感覚としてわかると思います。そのときの姿勢が、骨盤がおきている状態。かなり胸を前へ突きだし、重心が前へ移動していることが感覚としてわかると思います。そして、かなり無理をしないと重心が前へ移動しないことにも気づくでしょう。
 骨盤のポジションは、生まれてからの長年の生活スタイルによって形成されたものであり、もとに戻すためにはそれなりの時間がかかります。ただし、寝ている骨盤をおこすことは誰にでもできるし、それによって腰痛や、膝痛、ケガ予防、パフォーマンスアップ、といった期待が見込めます。
 かつて日本代表でも活躍し、昨季限りで引退した吉原宏太氏は、先日あるサッカー番組内で、「外国人選手はゴール前でクッと骨盤を生かして、くの字になりながら強いシュートを打てるんです。だから、僕もゴール前で無理な体勢からでもシュートが打てるように、骨盤の傾きを意識していました。」というようなことを話されていた。
 プレーを続ける中で感覚的に身に付けたものなのかもしれないが、体の使い方を工夫することでパフォーマンスの向上に役だてていた好例といえる。
 骨盤がおきれば、スポーツのパフォーマンスは確実にあがるのだ。

 

 

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