腸脛靭帯炎

腸脛靭帯炎/ハムストリングスを活性化する後脛骨筋

大腿筋膜張筋や腸脛靭帯をパンパンに緊張させ痛みを訴える選手が増えたように思います。症状は膝周辺の痛み、(ランナー膝)、大腿や膝の外側の痛み(腸脛靭帯炎)、屈伸時などに痛みが出現します。これは、安静にすれば痛みは和らぎますが、運動を再開すると痛みがぶりかえします。

腸脛靭帯炎はなぜ起こるのか?

主な原因はオーバーユースといわれていますが、力学的アプローチからみると、腸脛靭帯炎は大腿、下腿外側にメカニカルストレスが集中していることが手掛かりになります。

 

なぜ、大腿外側にストレスが集中するのか?

 

これは、大腿筋膜張筋の過作用だと考えています。大腿筋膜張筋は、上前腸骨棘から腸脛靭帯・下腿に付着します。作用は股関節を外転・屈曲・内旋、下腿を外旋します。つまり、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯の出力が多いと、大腿を内側に捻転、下腿を外側に捻転、方向に常に力がかかります。筋肉が疲労するのはもちろんのこと、骨や関節に対しても過剰なストレスになります。

 

なぜ、大腿筋膜張筋・腸脛靭帯を使いすぎるのか?

 

それは、ハムストリングスを使えないことが、一番の理由だと考えられます。ハムストリングスは、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の3筋のことをいいます。ハムストリングスは、坐骨結節から下腿に付着します。作用は、股関節を外旋・伸展、膝関節を屈曲します。個々の作用は、大腿二頭筋が下腿を屈曲・外旋、半腱様筋と半膜様筋が下腿を屈曲・内旋します。このハムストリングスの機能をオンにすることで、下肢の連動が起動し、メカニカルストレスが分散します。

 

ハムストリングスの機能をオンにする。

 

ハムストリングスの中でも大腿二頭筋長頭と短頭を下肢の連動に参加させる必要があります。腸脛靭帯炎で悩まされる選手は、股関節の外旋が苦手な傾向にあります。いいかえると、下肢を連動させることが苦手ということになります。そもそも、スポーツ競技は自然動作というより偏った動作です。この理由については省略しますが、一流選手といえど怪我や故障に悩まされるということでも、そう考えられるのではないでしょうか。下肢を外旋、内旋するのには、大腿と下腿のアライメントを揃えて股関節から脚を運動させることが大切です。

 

大腿二頭筋を活性化させる。

 

大腿と下腿のアライメントを整えるためには、土台になる足のアライメント修正が必要です。これは、足関節の内外反を除いた状態で下肢のアライメントに参加させます。そのためには、長趾屈筋、長母趾屈筋、後脛骨筋が十分な機能状態で脚の連動に加わるかどうかがポイントになります。このなかでも、後脛骨筋が難しいようですので、足関節の底屈方向に注意が必要です。

足指トレーニング(後脛骨筋・足関節底屈)

「足指の感覚がない、足指を思うように動かせない」
という方が多いです。
「カラダを柔軟にしたい、股関節の可動域を広げたい」
と皆さん様々なトレーニングを試みています。
しかし、脚の末端の運動感覚が薄い状態では、
思うような効果を得ることができません。
ですから、構造動作トレーニングでは足指トレーニングが欠かせない位置づけにあります。トレーニングは、感覚的、量的(回数)などに偏りがちですが、物理的に具体的な運動感覚を積み重ねることが大切です。

 

ハムストリングスを活性化するためには、前脛骨筋やふくらはぎの深層にある後脛骨筋の機能をフル活動させないといけません。
外反母趾のスポーツ選手をよくみますが、ハムストリングスの機能が制限されています。せっかくの優れた運動能力がくすぶって開花できずにいるのはもったいないものです。
しかし、本人がそのことに気づかなければ花は蕾のまま。
ぜひ、このトレーニングに興味を持ったのなら、カラダの仕組みを知り、トレーニングの考え方・方法を実践で学び、運動感覚変化を感知することで実感を重ねてください。トレーニングの補助具として、牧神の蹄を使う場合は上記を踏まえて行ってください。

様々なリハビリ・トレーニングの中から自分に必要なものを選択する力

現在のスポーツ競技におけるトレーニング方法は、日々進歩を続けています。
一方で、デメリットになる方法も含めて時代を越えていくのだと思います。これは、スポーツに限らず、どの業界においてもいえることだと考えています。
ですから、デメリットを引くこともあるでしょう。しかし、これからの時代に流されるのではなく、常に自分が納得できる選択をしていきたいものです。そのためには知識を備え、実感を持って情報を見極める術が必要だと思います。ぜひ、構造動作トレーニングの真髄を引き当ててみてください!

 

 

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