カラダが柔らかくなる「筋トレ」! “動き"のフィジカルトレーニング
パワーをつけるためにウエイトトレーニングをしてもからだが硬くなってしまう。といって、ストレッチばかりをやっていてもからだに芯が芽生えず、ふにゃふにゃに。なぜからだが硬くなるのか、なぜ力がはいらないのか。皆が悩んでいることの答えは「動き」のなかにあった!股関節の動きの徹底した観察から生み出された、ウエイトトレーニング(筋肉の収縮)とストレッチ(筋肉の伸張)を一度にからだに引き起こす「“動き”のフィジカルトレーニング」(通称“動トレ”)により全身に驚くほどの変化と効果がもたらされます。生物としての「ヒト」の自然な生理反応に即したトレーニングは老若男女、競技を問わず、日常生活のなかで行える画期的なエクササイズです。※適切に行うと、終わってからまるで温泉にでもつかったかのようにからだ全体がほぐれて、リラックスします。行えば行うほどからだが活性化していく(そしてそれが実感できる)エクササイズです。【Amazonで購入する】【楽天で購入する】
【内容】(「BOOK」データベースより)
骨盤をおこしたらー「動トレ」で一気に加速する身体を手に入れろ!やればやるほど軽く、柔らかく、楽になる。常識を超えるトレーニング法が日本人の身体に革命を起こす。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 筋トレとは何かー「ヒト」としてのトレーニングを考える/第2章 本当の筋トレの極意/第3章 まずは、しっかりした「拳」作りからー指の機能を活性化する/第4章 からだの土台ー趾(足指)/第5章 本当の腹筋とは何かー腹圧を鍛える/第6章 姿勢は背中から鍛えるー背筋、脊柱起立筋の収縮へ/第7章 全身のバネを鍛えるーハムストリングス/第8章 大地に垂直に立つ方法ー前脛骨に身体をのせる/第9章 一番重たい頭をどう取り扱うかー表情筋・顎・首
あなたの回旋運動はどちらでしょうか? [動画]重心移動
モーションキャプチャー装置を用いて二種類の体幹の回旋運動を計測しました。
以下、stick figure(身体を棒人間として表示したもの)の動きをビデオにしたものです。
1.重心の移動しない回旋運動
腰椎から回っている
2.重心の移動する回旋運動
股関節から回っている
重心はお腹辺りに位置し、赤い線を描いて運動方向へ移動します。
足元のピンク色の縦線は地面反力です。
■モーションキャプチャー装置による重心計測:モデル中村考宏
カラダが柔らかくなる「筋トレ」! “動き”のフィジカルトレーニング (春秋社)
『P.140 17:回旋運動』を参考にしてください。
マガジンハウス「クロワッサン」掲載記事より
一読のススメ
“動き”のフィジカルトレーニング(春秋社)〜 脳研究者・阪口豊(電気通信大学教授)
数年前にヒトのからだ全体の協調関係に興味をもつようになって以来,大学実験室から外に出ていろいろな人に会って話を聴く機会を増やしてきました.そのような中で,個人の力で活動している方々と会うことができ,仕事の上でも気持ちの上でも大きな刺激をもらっています.中村先生はそのような刺激的な方の一人です.
最初にお会いしたのは一昨年の秋,半身動作研究会の中島章夫先生のご紹介で,高齢者向けの講演会と「割りメソッド実践編」の講座に出席したときです.お会いして,噂で聞いていたとおりアツい方だったこと,骨盤前傾して胸が上に向かっているのを拝見して感激(?)したことの記憶があります.その後,モーションキャプチャ装置を使って重心の動きを測定したり,身体の感じ方についていろいろ議論したりとおつきあいが続いています.おつきあいを始めて2年もた たないうちに,中村先生は次々と著書を出版されてきました.私からすると信じられないハイペースで,あらためてそのパワーにびっくりさせられます.その中でも,最新刊の「動きのフィジカルトレーニング」は,中村先生の思想,哲学がよくまとまっていると思います.
中村先生との話しでよく出てくる話題は,意外なことかもしれませんが,「用語の使い方」です.研究者のあいだでは,専門用語の定義がしっかりしていて,お互いにその了解の下で議論しますので,誤解が生じることはまずありません.しかし,その専門用語が,日常用語と日本語として同じ単語である場合には,専門家と一般の人が話をするといろいろと混乱が起こります.その典型的な例が「重心」です.「重心」は物理的に厳密に定義される概念ですが,日常的には,その定義とは違った意味が使われることがよくあります.例えば,「重心がつまさきに乗る」といった具合です.この表現を使った人は,自分の感覚としてこの言葉を使っているのだと思いますが,この文の意味を厳密に理解しようとするとけっこう難しいです.こんなことから,「このことはいったいどういう言葉を使って説明したらよいだろうか」といった話題が出てくるわけです.
こういった「言葉の壁」は,研究者と一般の方のあいだのコミュニケーションをとる上で障害となりえます.研究者側が「言葉の使い方も知らない」といって一般の方との議論を遠ざけてしまっては何も始まりません.「この人はこういう言葉の使い方をしているけれど,その真意はどういうことなのだろうか.それは専門用語で言い換えるとどうなるのだろうか」と考えながら話を聴いていると,その意味や意図がだんだんわかってきます.職業研究者よりもよほど情熱をもって 身体や運動の問題に取り組んでいる方は多いですし,そのような方々との会話からはいろいろと学ぶことが多いのです.
本書の基本メッセージの一つに「運動とは人間の重心が移動することです」がありますが,このメッセージをあらためて眺めると,考えさせられる内容がいろいろと含まれています.例えば,中村先生の考えの一つに「身体パーツと重心の位 置関係をうまく利用して動きのきっかけを作ると無理なく運動を始めることがで きる」という内容のものがありますが,その内容もこのメッセージと結びついていると思います.ですので,この本は「ざっと」読むのではなく「じっくり」読んでいただきたいと思います.
また,この本に書いてあるトレーニングメニューは是非自分でやっていただきたいと思います.そのとき,身体の各部分にどのような感覚が生じるのかを無心で観察するのが大事だと思います.そこから得られるものは一人一人違うと思いますが,何かしら新しい発見があると思います.
身体を使う仕事をされている方,身体を動かす趣味をしている方に加えて,身体に関する研究に携わっている研究者の皆さんにも,一読をお勧めします.
バスケットボールコーチAさん
今回の書籍紹介は、「”動き”のフィジカルトレーニング」(中村考宏、春秋社)です。骨盤おこしで有名な中村先生が、独自の構造動作理論による身体運用とトレーニングの理論と実践を体系化したものですが、その切り口は斬新で革新的とさえ言えます。一時はAmazonでも在庫切れになっていましたが、それだけ注目されているのかな?!
一言で言えば、教科書に載っているような静的な解剖学ではなく「動きの中の解剖学」に基づき、人間の骨格構造に適した「骨格ポジション(姿勢・構え)」を取ることにより、身体が動くべきところで動くように、筋肉と関節を正常に動かせようとするものです。四肢の末端で踏ん張ったり力んだりすることなく、末端を軽くして体幹の力を伝え易くするのが動作の鉄則だと述べられています。
代表的な帰結として:
・頭は鼻の下と耳の穴を結んだ線が水平になる位置が適切であり、あごを引いてはいけない
・胸は前上方に出し(肩を引いて胸を張り肩甲骨を寄せるのではない)、腕は力こぶが前を指すようにする
・大腿骨(太もも)はやや外旋させ(その結果つま先は若干開く)、頸骨(すね)は垂直に立てて体重を支える
・骨盤が立った状態(骨盤立位)ないし前傾した状態だと、股関節は(ロックされず)フリーに動くようになる
・骨格で体重を支えることで太い脚は不要になるゆえに、トップアスリートは足首(ふくらはぎ)が細い
・ブレーキ筋である大腿四頭筋・大臀筋ではなくハムストリング・骨盤底筋の働きを重視すべき
・足は母趾球接地ではなくフラット接地にすることで、股関節がスムースに使えるようになる
・腹圧をかけることで体幹がまとまり、重心移動が円滑におこなえるようになる
などがあります。
これらは、立ち姿は自然体で伸びやかで、そこからの動きは速くかつしなやかであるという、優れたジュニア・アスリートにも共通にみられる身体ポジション/スタンス・構えであり、私がミニバスケットボールを指導する際に理想としてイメージしているものです。あくまで私見ですが、筋肉の使い方やトレーニング法に焦点を当てたという点では、『バスケ筋』(梅原淳、スタジオタッククリエイティブ)の三部作や『インナーマッスルを使った動きづくり革命』(森川靖、あほうせん)の二部作を包含したアプローチと言えますが、「動き=重心移動」と捉え、重心が移動しやすい・自分の身体の重み自体がエネルギーになるポジションをとることを重視している点では、古武術系や二軸理論との共通点の方がより強くみられます。中村先生の言葉をお借りすれば、「筋肉の時代」から「ポジションの時代」への架け橋になるのが、この本の役目なのだと思います。そして、「からだを重くするのではなく、からだが軽くなるようなものが本当の筋トレ」なのだと。
著者の中村考宏先生が2月初頭の藤浪トレーニングマッチ第二弾に参加されていて、懇親会でこの本に関して色々な話をご本人から伺えたのは大きな収穫でした。先生は開口一番、意味があいまいなスポーツ・トレーニングではなくフィジカル・トレーニングという言葉を使用した、つまり身体トレーニングに関する本であること、そして「運動=重心移動」(運動=筋肉の動きそのもの、ではない)という視点から動きのトレーニング法を構築したことを強調されました。トレーナー仲間や競技者からは「文字が多すぎる」と言われるそうで、科学的な根拠に基づき、かつ実践的・実戦的な身体運用法やトレーニング法を求める人のための本だと私も思います。逆に言えば、全体自分にしっくり来る部分だけをつまみ食いする人や、即効性のあるノウハウやコツだけに興味ある人には向いていません。
バスケットボールの場合、動きの基盤であるパワー・ポジションの取り方に関してはすでに定説(らしきもの)があります。また、男子の青山学院大や女子の桜花学園高の強さの理由として、筋肉を増やす中で体重を増やすこと、及びそのためのウェイト・トレーニングや食育の重要性がますます指摘されるようになっています。そんな風潮の中で、身体運用やトレーニングに関してバスケットボールの指導者がこれらと異なるアプローチを追求しようとすれば、周囲の無理解や懐疑的な反応に遭うこともあるでしょう。実際、中村先生の理論には、スキル指導にフォーカスする梅原先生やインナーマッスルを働かせることによる動作改善が中心の森川先生に比べて、既存のやり方を否定する部分が少なからずあります。
本書の前書きには、「ウェイトトレーニングで身体を固めた人、ストレッチで身体を柔らかくした人、それぞれが問題を抱えている」が、これは「筋肉の収縮に意識が行きすぎたウェイトトレーニング、筋肉の伸張に意識が行きすぎたストレッチ」の弊害であり、「自然な生態の生理反応を考慮したトレーニング」が必要だと書かれています。物議をかもす可能性があるからこそ、この本には価値があると私は考えており、特に「〜は効果がない」・「〜は有害である」・「〜は誤りである」などと述べられている部分には細心の注意を払うようにしています。結局、指導者は「このやり方で上手くいっている・結果が出ている」というだけでは足りず、「なぜそのやり方が上手くいくのか・ベストだと考えられるのか」に関して、自分の中にそれなりの回答を持っている必要があると考えます。
(以上)
筋トレのススメ:筋肉トレーニングでからだをやわらかくする
筋トレには賛否両論あります。しかし、筋トレの定義があいまいなまま思い込みで筋トレを否定している人も多いようです。また、筋トレの知識がない、或いは、「自分のカラダをどうしたいか」という目的があいまいなまま、目的に合わない筋トレをして失敗してしまう人も多いと思います。
筋トレとは、どのようなトレーニングなのでしょうか?筋トレとは、筋力トレーニングのことなのか、或いは、筋肉トレーニングのことなのでしょうか?これは、指導者、トレーニングに取り組む人により様々な考え方、方法がありますので、筋トレをひとくくりに議論できないのではないでしょうか。私は、自分の目的にあった筋トレでしたら何ら問題ない、むしろ必要不可欠だと考えています。
例えば、「かっこいいボディをめざして筋トレ」「パワーアップをめざして筋トレ」「関節の可動を広げるための筋トレ」「動きを滑らかにするための筋トレ」など、目的にあっていればそれはメリットになります。しかし、目的に対して方法、手段を間違えればデメリットになります。
筋トレは、「筋肉が収縮をして力を発揮する」という特性に注目しています。私の場合は、治療する立場にありますから、怪我を治す、怪我を予防する、パフォーマンスをアップするために筋肉トレーニングをしています。よく「筋トレをするとからだが硬くなる」といわれますが、これは目的やトレーニングの考え方・方法の違いによる結果なのです。筋肉の特性からしても、筋肉の収縮率が上がれば関節の可動が広がるので、ストレッチでからだをやわらかくするよりも、筋トレでからだをやわらかくした方が日常生活や各競技動作に適した実践的なトレーニングになります。
筋トレは、単筋をアプローチすることも、からだ全体の筋を統合するアプローチも大切です。よく「筋トレは部分的に筋肉を鍛えるので意識が部分に集中し動作バランスを崩してしまう」といわれますが、これも目的と方法を間違えているだけです。おそらく、筋肉が100パーセント機能しているという人はいないと思われます。単筋をアプローチするのは機能回復が必要な筋肉に対してです。これは、治療に携わる人や動きに精通する人でしたらわかると思いますが、いずれにせよ専門的な話なので理解が難しいかもしれません。
カラダ全体の筋を統合するアプローチは、基本動作「スクワット」「プッシュアップ」「股割り」などのシンプルな動作で筋肉の連動、関節の運動方向、重心移動の軌道を滑らかにします。このような基本動作においても目的や方法が違えば、当然、結果も違ってきます。よく「子供に筋トレをさせた方がいいですか」と聞かれますが、その子が何を目標にしていて、何を考えていて、どのようなからだの状態なのか、ということがわからなければ答えようがありません。そして、その質問者がどのようなことを「筋トレ」といっているのか、が重要なのです。目的と方法・考え方が違えば、子供さんが犠牲になりかねません。ですから、私は筋トレという表現に慎重になります。
確かに今の子供たちは、筋の機能が低下しています。それは、姿勢を保持する筋肉であったり、走るための筋肉などです。私は、その理由が環境によるところが大きいと考えています。大人は、環境作り、子供には将来を切り開く術を身に付けてほしいと思います。そのためには、どうすればよいのか?私のテーマなのです。しかし、今いえることは、筋トレよりもポジションが大切ということです。筋トレの基本は重力を無理なく受けることができる骨格ポジションで筋肉の起始停止を整えることです。この骨格位置が定まらなければ、筋肉の収縮率を上げることができません。まずは、日ごろの姿勢に気を付けることからはじめてみてはいかがでしょうか。
また、若い世代で基本動作「スクワット」「プッシュアップ」「股割り」などのシンプルな動作に興味を持つ選手が増えてくれたらと思います。基本動作は地味なトレーニングなので敬遠されがちです。私も若い頃は知識なく回数をこなしているタイプだったので、基本動作のトレーニングをしてきつかった記憶しかありません。しかし、長年治療に携わっていると基本動作の大切さが身に染みています。怪我を繰り返す選手は、基本動作が苦手で、そのために筋肉の連動、関節の運動方向、重心移動が上手く行われていません。私は、100の技術を学ぶよりも1つの基本動作に適うものは無いと考えています。
私のおこなう筋トレでは、からだがやわらかく、動きが滑らかになる効果を求めています。逆に、からだが硬く、動きがぎこちない、結果になったとすれば方法・考え方が違います。知識と実践の両方を備えて筋トレに励んでください!
MATAWARI JAPAN 中村考宏
撮影風景
力を抜く、ゆるめる、脱力、リラックスなど、身体の緊張を取り去るのに様々な表現や方法がある。力みがあると動きにくい、身体が緊張していると疲れやすいなどといった理由から、最近は特に筋肉をゆるめることをやっている人が多い。
なぜ、身体に余分な力が加わるのだろうか?
その理由を求める必要があるだろう。
フィジカルトレーニングで「力を入れる」ドリルがある。
思うように力を入れることができず皆、苦労している。
どういうことだろう?
力を抜くことは骨格筋が弛緩、力を入れることは骨格筋が収縮。
筋肉には収縮―伸張―弛緩という状態がある。
これが筋肉という器官なのだ。
力を入れることができなければ、力を抜くことがわからない。
力の入れ方がわからなければ、リラックスが難しい。
トレーニングには、収縮、伸張、弛緩の3つの状態が必要だと考える。
まずは、骨格ポジション。
さんざん、骨格ポジションをトレーニングしてきてようやく気付く。
そして、動きを想定する必要があると。
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