腰痛

不安を消せば腰痛は治る、自分のカラダ、股関節の動きを実感する

腰痛の不安を消す

先日、長年の腰痛で困っていた方から「もう、腰痛が恐くなくなりました!」と報告がありました。腰痛に限らず治療で大切なことは「不安を消す」ということです。長期間、痛みを患っていると心の不安が大きくなり、治るものも治らないと思い込みがちです。「不安を消す」ということは、治療をする上で大切なことなのですが、とても難しいことでもあります。私自身も治療にあたる上で常に念頭においていますが、「不安」を払拭できるときばかりではないので生涯の課題として取り組んでします。
「不安を消す」ために必要なことは、まず適切な情報を知るということです。これまで常識とされていたことが、すでに改められて過去の常識になっていた、ということがよくあります。もしかしたら、最新情報が自分にとって不安を払拭するものかもしれません。新しい情報を知らないばかりに治療の目途が立たず不安を抱えたままになっていてはいけません。これは、私自身も治療に携わる者として最新情報を見逃さないようにアンテナを張っています。

カラダを知る

そのうえで、「カラダを知る」ということが大切です。これは、自分のカラダの仕組みを知ることで「動作の質」を見直すことができます、万能薬といわれる「運動」を筋肉痛に悩まされることなく快適に行うことができます。「運動」は、腰痛に限らず様々な健康問題に効果が認められています。もし、自分の動作を見直すことによって、運動が滑らかに行うことができ、快適に日常生活が送れるとしたら「腰痛」の不安も払拭されるのではないでしょうか。
とはいえ、頻繁にカラダを動かしているスポーツ選手も腰痛に悩まされています。「使い過ぎだからしょうがない」と思うかもしれませんが、実は「使い過ぎ」は腰痛に結びつきません。現に同じ競技をしていても腰痛を発症する選手がいれば、生涯腰痛と無縁の選手がいます。これは、なぜでしょうか?体質?運がいい?日ごろの行いがいい?それは、不安が少ないか、或いは、不安を払拭する術を備えている選手が腰痛にならないのだと考えています。不安を大きくするものにはストレスがあります。ストレスには心に影響するものの他に動作に影響するものがあります。

メカニカルストレス

私は特にスポーツ選手の腰痛治療で動作に影響するストレスに注目しています。それは、メカニカルストレスというものでアライメントや動き方によりストレスが集中する箇所があります。ストレスの集中する箇所が動作に影響しますので、一般の人から見て滑らかに見える動きだったとしても、選手自身にとってはぎこちなさを感じるのです。動作のぎこちなさは、プレーに影響し、結果として心に影響することになります。どのようなストレスも適量ならばプラスに働きますが、過剰ならばマイナスに働くのです。
メカニカルストレスを分散するためには、アライメントを整え、動作の質を高めていきます。アライメントを整えるというのは、重力を無理なく受けることができる骨格位置へ姿勢をトレーニングしていきます。動作の質を高めるというのは、重心移動を滑らかに行えるようにトレーニングしていきます。そして、動作が滑らかになることによりストレスの集中から開放されたと考えられます。スポーツ選手の腰痛治療も「不安を消す」ということが大切なのです。

「動作の質」を見直す

「動作の質」を見直すには、カラダの仕組みを知る、カラダを感覚で記憶する、カラダを運動で記憶する、という手順を踏んで自分のカラダを知ることからはじめます。これは、カラダの知識がある、ということとは違い、運動感覚を備えてカラダを実感しているということです。そして、重心移動を滑らかに行えるよう基本動作で動きを練っていきます。しかし、スポーツ選手だったとしてもスクワットなどの基本動作が難しいのです。おそらく、一般の方はシンプルな基本動作を深く解析したことがないのではないでしょうか。ヒトの「動作」とは、シンプルに見えて、掘り進めたならば、どこまでも深いのだと思います。ですから、わずかな動き方の違いがストレスを集中させることにもなり、調子を崩すことがあるのです。

「不安」要素

腰痛を訴える方たちをみていますと、運動感覚を備えてカラダを実感しているという方をほとんどみたことがありません。おそらく、自分のカラダを実感できないことも「不安」要素の一つであると私は考えています。

腰がカチコチに固まってぎこちない動き

腰痛の治療は、「不安を消す」ということが大切でした。そして、その「不安を消す」ために適切な腰痛の情報を知った上で、「カラダを知る」、「動作の質」を見直すことをしていきます。「動作の質」を見直すことでカラダを滑らかに動かすことができれば、ぎこちない腰の動きをしないで済むため、腰痛の不安が払拭されるのではないでしょうか。カチコチに固まった腰でぎこちない動きしていたら、前に屈むのも、捻るのも、ましてや重たいものを持とうものなら、不安でしかたありません。腰がカチコチに固まっているからぎこちないのか、それともぎこちない動きだから腰がカチコチに固まっているのか、どちらの理由なのでしょうか?

理由はどちらでもありません。

腰の動きがぎこちないのは、股関節の動きが不足しているからです。腰痛の方を見ているとほとんどの方の動きに股関節の動きが不足しています。股関節は、英語でヒップジョイントといって左右のお尻に球状の関節がはまっています。球状の関節ですから脚を大きく自由に動かすことができますし、左右の足を固定すれば体幹を前屈、後屈、捻転、側屈、と広い範囲を動かすことができます。ですから、腰でぎこちなく動かす必要がないのです。腰でぎこちなく動かすから不安がつのるのではないでしょうか。

「運動」の前のカラダの整備:股関節を知る手順

不安を消すためにも股関節を動かし腰を滑らかにすることが大切です。これは、「激しい運動をしろ」ということではありません。「運動」の前のカラダの整備といったところです。「運動」は、従来の「治療してもらう」「治してもらう」といったような受け身的な治療に比べ、腰痛を改善することができますし、腰痛を予防することができる有効な方法です。しかし、ぎこちない腰の動きで「運動」するよりも、滑らかな腰の動きで「運動」に取り組んだ方が不安なく快適に行うことができます。

では、股関節を動かすにはどのような手順を踏んだらよいのでしょうか。

  1. 股関節の仕組みを知る
  2. 股関節の位置を知る
  3. 股関節を感覚で記憶する
  4. 股関節を運動で記憶する

このような手順で股関節を知識として知る、ということではなく股関節を実感して知っている状態にするのです。

「自分で治す」という攻めの考えの方で股関節を実感する

股関節は、とても大きく身近な関節のはずなのに、腰痛の方のほとんどの方が股関節を知りません、いや、実感がありません。ですから、股関節のリハビリが必要なのです。股関節を実感できれば、前屈、後屈、捻転、側屈といった腰を滑らかに動かすことができますから、ぎこちない不安も払拭されると思います。ただし、股関節を実感できるまでには個人差があります。それは、従来の「治してもらう」という受身的な考えでいるよりも、「自分で治す」という攻めの考えの方が股関節を実感しやすいのです。受け身の治療に慣れている方は、考えを切り替えるまでに時間がかかる方もありますが、股関節を実感するのは自分しかできないことです、焦らず根気よく取り組みましょう。

股関節の操縦方法:骨盤おこし

つづいて、動作をするには股関節の操縦方法を覚えなくてはなりません。股関節がどのような状態で動き、どのように止めるのか、動作を行う上で重要なことです。股関節のアクセルとブレーキは、「骨盤」と「接地」で調節をします。

「骨盤」
骨盤を後傾させた状態⇒ブレーキ
骨盤立位、骨盤前傾⇒アクセル

 

「接地」
母趾球加重⇒ブレーキ
足裏全体加重(フラット接地)⇒アクセル

カラダを車に例えると骨盤を後傾させた状態は、サイドブレーキをかけて停車中。骨盤を後傾させることにより骨盤の関節のくぼみ(ヒップ・ソケット)に大腿骨頭を深くはめこみます。これにより、股関節がロックされ動きを止めるのです。車を動かすときは、骨盤を立たせた状態にしてヒップ・ソケットと大腿骨頭に余裕を持たせます。これにより、股関節がフリーになりいつでも動き出し可能になるのです(アイドリング)。そして、骨盤を前傾させた状態は、アクセルで走行中です。

骨盤後傾から骨盤を立てる

股関節を動かすには、「骨盤を立てる」ことが重要です。しかし、腰痛の方をみるとほとんどの方が、骨盤を後傾させてサイドブレーキをかけたまま動いているのです。これでは、腰の動きを滑らかにするために、股関節を動かそうとしてもロックを解除しない限り、股関節を滑らかに動かせません。実は、腰痛に限らず日本人の多くの方が骨盤を後傾させた状態で動いているのです。ですから、骨盤後傾のお尻は、垂れたようにも平たくも見えます。お尻が落ちたスタイルは日本人の特徴のようです。

「骨盤おこし」トレーニング

骨盤を立てるには、「骨盤おこし」をトレーニングします。これは、骨盤後傾から骨盤立位、骨盤前傾へ、股関節を滑らかに動かすことができるポジションを身につけるのです。「骨盤おこし」トレーニングは、腰痛に限らず股関節を滑らかに動かすためのトレーニングとして有効です。

「骨盤おこし」トレーニングは、以下の手順でおこないます。
1.骨盤の形を知る(骨指標)
2.骨盤の形を感覚で記憶する(骨指標)
3.骨盤のポジションを運動で記憶する

このような手順で骨盤ポジションを自分のものにしていきます。骨盤ポジションには、骨盤前傾、骨盤立位、骨盤後傾があります。まず、骨盤を立てる(骨盤立位)ことが目標です。これも股関節の運動感覚と同様に鈍くなっていますので、股関節のリハビリと合わせておこなうと効果的です。

腰痛疾患の手術

手術をしたけれども腰痛が完治しないという相談は多い。腰痛に関する情報が溢れ何が正しい情報でどの治療を受ければよいのかわからないまま受け身的な考え方で医療にかかられている方が多いのではないでしょうか。

腰椎椎間板ヘルニアの手術を2回、腰には2カ所の手術痕が残る。この痛みや痺れなどの症状の原因がヘルニアではなかったということが考えられます。本当に手術が必要な腰痛疾患というのは重大な病変のあるごく一部ということがわかっています。

正しい知識を得て積極的な考え方で腰痛を治すことが大切です。根本的な治療を考えている方は腰痛研究の第一人者・菊地臣一先生(福島県立医科大学理事長)の研究を参考にされるとよいと思います。

運動は、慢性腰痛にとって極めて有効で腰の手術を上回るほどの効果があることがわかっています。私は運動する習慣を身につけるとともに「運動の質」を高めることが大切だと考えています。いくら運動の効果が高いからといって無闇に運動量を増やしたり、運動の方法に無理があれば、継続するにも難しくなってしまいます。構造動作トレーニングは「運動の質」を高めるためのリハビリトレーニングなのです。

 

 

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