シンスプリント(Shin splints)

シンスプリント(脛の内側の痛み)は治る

シンスプリントとは

お子さんのシンスプリントについて親御さんから相談を受けます。

シンスプリント(Shin splints)は、脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん、 Medial tibial stress syndrome)ともいいい、脛(すね)の内側に痛みを発症します。

脛の内側に掛かるストレス

この症状は、野球、サッカー、バスケ、陸上などの競技に関係なく起こります。それは、走る際に地面を蹴り出す衝撃が蓄積してダメージになっていると考えられます。しかし、同じ競技をしていても脛(すね)の内側痛が発症する選手と発症しない選手がいます。

 

なぜでしょうか?

 

それは、人それぞれに脛(すね)に掛かるりストレスの程度に違いがあるからだと考えられます。骨の位置、接地、走り方などにより、ストレスが脛(すね)に適度にも過剰にも掛かるからです。

シンスプリントが治らない原因

シンスプリントの治療は安静、冷却、テーピング固定、ストレッチ、筋肉のマッサージ、筋力の強化などが一般的です。しかし、せっかく治療をして骨膜や筋肉の組織が修復されて治ったと思ったのも束の間、再発する選手は少なくありません。

 

なぜでしょうか?

 

予防の心がけが悪かったからでしょうか?それは違います。予防のためにストレッチやマッサージを真面目にやっていたとしても再発する選手は、やはり再発する可能性が高いのです。それは、脛(すね)に掛かるストレスの原因が解決できていないからです。一般的に治療は組織の修復に主眼が置かれます。とても大切なことなのですが、組織の修復とともに過剰なストレスの原因を力学的に考えてリハビリをおこなうことが必要なのです。

「すねの骨の役割」と「すねの筋肉」の役割

例えば、すねの骨(脛骨)は長軸方向に頑丈な強さを発揮します。しかし、長軸方向からズレると剪断力という力が骨に掛かります。これは、骨の強さを発揮できない状態です。下腿の筋肉は「動く」以外に「支える」という骨のサポートをしなければなりません。このように骨には剪断力が、筋肉には過剰な仕事というストレスがかかります。

すねの筋肉

脛の骨(脛骨)の内側にはヒラメ筋、長趾屈筋が付着します。ヒラメ筋は腓腹筋とともに下腿三頭筋といわれる筋肉で、いわゆる「ふくらはぎ」の筋肉です。長趾屈筋は、後脛骨筋、長母趾屈筋とともに「ふくらはぎ」の深層筋です。

脛(すね)の内側に痛みが発症しているときは、これらの筋肉が硬くなっています。

疲労骨折

痛みがあるから筋肉が硬いのでしょうか?それとも、筋肉が硬いから痛みがでるのでしょうか?
痛みがあるから筋肉が硬くなっていたとしたら痛みの原因は「疲労骨折」かもしれません。シンスプリントだと思っていたら「疲労骨折」だったということもあるので担当医師に相談して下さい。

筋肉が硬くなる原因を考える

筋肉が硬いから痛みがでるのだとしたら、筋肉が硬くなる原因を考えなくてはなりません。

これには、足の機能状態、動き方、など様々な要因が重なると考えられます。同じように激しい練習をしたとしてもシンスプリントになる選手とならない選手がいます。それは、足の機能状態や動き方が選手によって異なるからです。

足の機能状態というのは、

  • 足のアーチ構造による衝撃の緩和ができているか、
  • 下腿の骨格筋が充分に機能しているか、などです。

これは、別の故障個所が治らないまま残っているために足の機能が不十分ということもありますし、動き方により足の機能が偏って不十分になっているということもあります。足の機能が不十分なために衝撃をダメージとして蓄積し筋肉が硬くなっているかもしれません。また、足の骨格筋が機能不十分なために負担を受け続けている筋肉が硬くなっているかもしれません。

いずれにせよ、シンスプリントといっても選手によって状態が違うわけですから一人一人の状態、動きをみて筋肉が硬くなっている原因を考えなくてはなりません。

筋肉をやわらかくゆるめるだけでは治らない

そして、重要なのは過剰なストレスの原因を取り去ることです。筋肉をやわらかくゆるめるだけでは、ストレスの原因を取り除いたことになりません。組織の修復とともに過剰なストレスの原因を力学的に考えてリハビリをおこなうことが必要です。

競技をする限り、シンスプリントは繰り返してしまい治らないと思っている選手も多いかもしれませんが、シンスプリントは治るものです。

まずは、

  • 「骨の強度を最大限生かす」
  • 「下腿部の深層筋を機能させる」

骨格ポジショニングから考えてみてはどうでしょうか。

 

 

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