骨盤を立てることの有用性

なぜ、スポーツ競技で骨盤を立たせることが有効なのか?

スポーツで「骨盤を立てる」ことが注目されるまで

「足腰」から「骨盤」「股関節」へ

私が学生の頃は、「足腰」を鍛えるためのトレーニングといえばスクワットや走り込みなどが主流だったと記憶しています。もう、30年も前の話になりますので今のような「骨盤」「股関節」といういいかたはなく「足腰」でした。もしかしたら、私が知らなかっただけかもしれませんが...。今では、「骨盤」「股関節」を意識したトレーニングが一般的になっています。

「足腰」から「骨盤」「股関節」へ発展してよかったこと

漠然と「足腰」のトレーニングをしていましたが、実は「腰を入れる、腰を落とす」といった「腰」の意味がわかっていませんでした。また、どこからどこまでが「足」なのか、「足」がどこから動くものなのかわかっていませんでした。そして、腰の入れ方を間違えて腰を壊したり、足の動かし所がわからないままパフォーマンスが上がりません。おそらく、私のように、そもそもの「足腰」がわからない選手は大勢いると思います。しかし、「骨盤」「股関節」を知ることにより「足腰」を鍛えるということの意味を踏まえたトレーニングができますので、怪我が減り、実践に即した効果が期待できると思います。

スポーツ選手のための「骨盤おこし」

私が「骨盤おこし」でメディアに出たのが2006年です。当時は「骨盤ダイエットブーム」で健康や美容業界に「骨盤」が溢れかえっていました。スポーツ競技の世界でも一部では注目している人もいたと思いますが、今ほどではありませんでした。最近では、私の書籍を参考に「骨盤」「股関節」を勉強しているという選手がいるくらいですから、そのくらい「骨盤」「股関節」が一般的になったのでしょう。

スポーツ選手が骨盤を立てる理由

スポーツ選手が骨盤を立てるトレーニングをする理由は、「実践において重心移動を円滑に行うため」です。これは「骨盤」が「股関節運動」の「ONとOFF」を担うからです。つまり、「ON」は重心移動が円滑に行うことができ、「OFF」は重心移動を止めることになります。骨盤を立たせたポジションは、股関節がON(= free)なので骨盤をさらに前傾させ動きを加速させることができます。骨盤を寝かせたポジションは骨盤後傾といって股関節がOFFなのでスポーツなどの運動に向きません。このポジションのまま動くことは、股関節運動を制限して動くことですからパフォーマンスの低下、怪我はまぬがれません。ですから、本質的に実践での動きを見据えているスポーツ選手は、おのずと骨盤を立てることにいきつくのです。

とはいえ骨盤を立てることは簡単ではありません

私の書籍で「骨盤」「股関節」をトレーニングをしているという選手から「実際に骨盤ポジションを見てほしい」との相談を受けることがあります。それはそれは、私自身嬉しいですし、書籍だけでどれほどのトレーニングができるのか興味があります。感心することもありますし、いい線いってる惜しい、トレーニングの方向性が違う、など活字をカラダで追う難しさを実感します。ですから、私のような専門家の存在があり、活字を現実にするアドバイスが可能になるのだと改めて思うわけです。骨盤を立てるということは技術ではありません。「ちょいと骨盤をおこして」と思っている方の多くは、「腰を反らせているだけ」ということが往々にしてありました。もし、骨盤を立たせることができるとすれば、股関節運動がスムーズにおこなわれますから、足の回転がよく、股関節周りの筋肉は弾力性に富んだやわらかさの持ち主だということになります。

骨盤を立てて股関節トレーニングへ

私はかれこれ10年以上、「骨盤」「股関節」のリハビリやトレーニングの指導と私自身も実践研究を兼ねてトレーニングをしています。その経験の中で今もなお難しいことがあります。それは、カラダの仕組みや動きの表現方法です。私は常に表現方法を探しているといって過言ではありません。そして、トレーニングや治療を現すためのカラダの仕組みや動きの適切な表現が完成していません。治療の世界に身を置いて20年以上になりますが、カラダを現す術というのは生涯かけることなのだと思います。しかし、10年も経てば私自身も10年分前進していますので、当初の「骨盤おこし」からトレーニングとして系統だったものになってきています。骨盤を立てることのポイントは「骨盤」という部分に捉われないことが大切です。それは、カラダ全体としての重心移動を円滑に行うためです。「骨盤」という部分に捉われている方は股関節「ONとOFF」の切り替えができません。まず、カラダの仕組み動きを知ることからはじめて、骨盤を立てて、実践での動きを見据えた股関節トレーニングをおススメします。

 

 

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