「深部感覚」から身体がよみがえる!(晶文社)の刊行がきっかけでニューヨークに拠点を置くオリバーサックス財団のエドガー・ケイトさんから生前のサックス先生のエピソードを伺うことができた。
サックス博士は日本訪問をとても喜んでおられました。日本では1990年代に瀬川博士と 楢林博士にお会いになりました。彼は苔の生えた庭園を愛していました(それに寿司も!)。
瀬川博士と 楢林博士 という二人の日本人は、 瀬川小児神経学クリニック院長だった瀬川昌也氏と、順天堂大学教授・楢林神経内科クリニック院長だった楢林博太郎氏のようです。残念ながらお二人ともお亡くなりになられていて、もう日本にはこのエピソードをご存知の方はおられないかもしれません。心よりご冥福をお祈りいたします。
神経学者ジョナサン・コールとオリバーサックス先生が固有感覚について書いた本「Pride and a Daily Marathon」をご存知でしょうか?
残念ながら日本語訳はないようです。
神経学者ジョナサン・コールの本で日本語訳版「スティル・ライヴズ: 脊髄損傷と共に生きる人々の物語 」「顔の科学」があります。
ジョナサン・コールは「スティルス・ライヴズ」で「無の感覚」について興味を示している。
私は、感覚や運動なしに生きるのがどのようなことかを知ることに興味をかき立てられていた。感覚や運動がないというのは、どんな感じなのだろうか。・・・
私も経験しましたが、局所麻酔をした鈍い感覚と固有感覚を失う感覚は同じ種類の感覚ではない。おそらく知恵を絞って考えたところで得られることができない感覚なのかもしれない。そのようなことで実際に経験されているオリバーサックス先生に私はシンクロするくらいに共感するのです。
しかし、それ以外、固有感覚(proprioception)の情報が乏しい.....。
ということで、原点から固有感覚を発見したといわれているサー・チャールズ・スコット・シェリントン(Sir Charles Scott Sherrington)が、「どのようにしてそれを発見したのか?」を調べています。シェリントンの功績や固有感覚の重要性は、それほど必要性を感じられるものではないのか、大した資料がみつからない....。
何か情報をお持ちの方いらっしゃいましたらご連絡ください。
よろしくお願い致します。
私は深部感覚(固有感覚)を立て直したことがある人の表現を感じてみたいと思っていた。それは、私が怪我をして失った深部感覚(固有感覚)を立て直したものの、これを表現するのに手をこまねいていたからだ。私の表現方法は、経験と知識、それに実践をあわせること。12年という時間は、長いのか短いのか、私の表現は何とか人に伝えることができるようになった。
ところが、新刊「深部感覚」から身体がよみがえる!(晶文社)の校了と同時に担当の編集者から2冊の本を紹介された。それは大怪我をして固有感覚障害を経験した脳神経外科医が書いたメディカルエッセイだった。偶然にも同じ出版社で深部感覚(固有感覚)を立て直したことがある著者とめぐりあえた。
12年越しにめぐりあうことができた著者の名はオリバー・サックス先生。 20年前 、まだ鍼灸学校生であった当時の話題の映画「レナードの朝」の原作者、残念なことにほぼ映画の記憶が残っていない。 当時の私にはサックス先生の深部感覚(固有感覚)をキャッチする必要性がなかったようだ。
しかし、編集者から紹介されたのは「A leg to stand on 1984年 」 の翻訳本「左足をとりもどすまで」(晶文社) は、サックス先生が大怪我をして固有感覚障害を経験したストーリーであり、まさに深部感覚(固有感覚)を立て直したことがある人の表現だったのだ。神経の損傷レベルが違うためだと思うが症状は異なるものの、心の内やボディイメージ(身体像)は恐ろしくシンクロするほどだった。おそらく深部感覚(固有感覚)を障害した人たちの声は多いが、それを立て直した人の声は少ない。深部感覚(固有感覚)とは、どのようなものなのか、ということは調べれば出てくるが、リアルに表現されたものは稀なのかもしれない。
私は内部環境で深部感覚(固有感覚)が回復していく過程の描写を探した。これも神経の損傷のレベルが違うためだと思うが、サックス先生は飛び移るような過程をたどっていた。私の場合は、じっくりと構築していく過程をたどったので内部環境に滞在した時間が長かったようだ。まだ、表現方法が見当たらないが、そのぶん、内部環境の風景を描写したいと思うのかもしれない。
新刊「深部感覚」から身体がよみがえる!(晶文社)を刊行することで、偶然と偶然が重なり私の固有感覚は確信へと変わった。ヒトが動くということの根底には固有感覚という自己を所有する感覚がある。リハビリ・トレーニングを形づくり成立させるためには、実践を重ね内部環境を色濃くしていくことが必要、これからの私の課題だ。
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